株式会社TYO
最高の制作チームで「伝わる」映像を作り続ける
1982年の設立から数々のヒットCMを世に送り出してきた株式会社TYO。広告を取り巻く環境が大きく変化する中、今年1月に経営体制を一新し、事業のマルチブランド化と現場プロデューサーの役員への抜擢を進め、コンテンツ制作のアップデートを推進している。「伝わる」映像を作り続ける姿勢や今後の展開などについて、同社代表取締役社長の早船浩氏にうかがった。(収録:2021年8月6日)
【 CM INDEX 2021年9月号に掲載された記事をご紹介します。】
時間の許す限り現場で吟味
細部までこだわって粘り強く作る
— これまでに数々のヒットCMを手掛けていますが、直近の代表作について
CM INDEXさんに取り上げられるものでいえば、妻夫木聡さんらが出演する『ジャンボ宝くじ』※1の「ジャンボ兄ちゃん」シリーズが挙げられます。5人きょうだいを演じるキャストの皆さまの空気感や間合いを重視し、セリフや演技も時間が許す限り現場で吟味しています。5人一緒だからこそ生まれるものがあり、別撮りせずに一発OKが出るよう複数台のカメラを用意するなどの工夫もしています。制作はMONSTER、ディレクターも当社の佐藤渉が担当しているため、TYOのメンバーで密にコミュニケーションを取りながら進めることができ、多くの方から反響をいただけていると感じます。
アサヒビールさんの『アサヒスーパードライ』※2のCMも10年以上にわたって担当させていただいています。一貫して高揚感や挑戦をテーマとしているため、シャープな映像表現に注力しているのですが、その中でも大切にしているポイントはシズルです。ビールが飲みたくなるシズルを常に探求しており、飲むカットに限らず、ビールそのもののシズルや商品特有のキレのあるシズルを表現するために、世界中から優れたクリエイターを発掘したり、最近は難しいですが、ニューヨークなどの海外で撮影することも多かったですね。CMのコピーである「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」の通り、その“おいしさ”を視覚的に伝えるワンカットだけに丸1日かけるなど、手間と時間を惜しむことなく毎回新しいシズルに挑戦しています。
これらに限らず当社は視聴者に「伝わる」映像を作り出すために、細部に至るまで徹底的にこだわり、粘り強く取り組むことを大切にしています。最近ではCMだけでなくウェブ動画も含めた映像制作が増えているほか、さまざまなアーティストが一発撮りのパフォーマンスを披露するYouTube Channelなど、事業領域が拡大しています。
アサヒビールさんの『アサヒスーパードライ』※2のCMも10年以上にわたって担当させていただいています。一貫して高揚感や挑戦をテーマとしているため、シャープな映像表現に注力しているのですが、その中でも大切にしているポイントはシズルです。ビールが飲みたくなるシズルを常に探求しており、飲むカットに限らず、ビールそのもののシズルや商品特有のキレのあるシズルを表現するために、世界中から優れたクリエイターを発掘したり、最近は難しいですが、ニューヨークなどの海外で撮影することも多かったですね。CMのコピーである「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」の通り、その“おいしさ”を視覚的に伝えるワンカットだけに丸1日かけるなど、手間と時間を惜しむことなく毎回新しいシズルに挑戦しています。
これらに限らず当社は視聴者に「伝わる」映像を作り出すために、細部に至るまで徹底的にこだわり、粘り強く取り組むことを大切にしています。最近ではCMだけでなくウェブ動画も含めた映像制作が増えているほか、さまざまなアーティストが一発撮りのパフォーマンスを披露するYouTube Channelなど、事業領域が拡大しています。
※1 全国都道府県及び20指定都市/ジャンボ宝くじ
“ジャンボ兄ちゃん”役の妻夫木聡をはじめ、吉岡里帆、成田凌、矢本悠馬、今田美桜が5人きょうだいを演じるシリーズ。コミカルな掛け合いが好評で、常にCM好感度の上位にランクインしている。
※2 アサヒビール/アサヒスーパードライ
「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」をコピーに、福山雅治や菅田将暉、中村倫也らを起用したCMなどを展開。際立つシズル表現でCM好感要因の「商品にひかれた」で高い評価を得ている。
マルチブランド戦略による事業再編で
社員一人ひとりの個性を引き出す
— 事業再編し、5つのブランドに分けて展開しています
個性豊かなプロデューサーやスタッフを有する、2002年設立のMONSTER FILMSをルーツとした『MONSTER』、大手プロダクションのスケールメリットを生かしながら小回りのきく制作集団として結成した『TYO drive』、テレビCMなど大型案件を得意とする『PRO2』、新規事業開発を進める『Third』、佐藤渉をはじめとした6人のクリエイター集団である『WHOAREYOU』に分け、それぞれが個性を発揮できるブランドコミュニティーを形成しています。総勢73人のプロデューサーが在籍しており、映像や制作への熱意が高いことは共通していますが、それぞれの得意分野が異なるため、社員一人ひとりの力を最大限に生かす意味でもマルチブランドとしています。これらブランドコミュニティーでは年間800本もの映像を制作しており、経験値によって培われたフィージビリティー、アイデアの実現性を判断する能力、コスト効率化のスキル、制作プロセスの進行力には定評があります。
ThirdとWHOAREYOUは今年に誕生した事業ブランドで、Thirdは多様化、複雑化するクライアントのニーズへの対応をミッションとしています。現在はオフラインとオンラインを共存させ、メディアの特性を生かしたアウトプットによるコミュニケーションが主流となっています。あらゆるメディアについて最先端の情報をキャッチアップし続けることは簡単ではありませんが、マス、デジタル、イベントといった接点を連動させながら新たな映像体験を創出しております。また当社の顧客は広告会社がメインとなりますが、近年では広告会社から広告主へと転職する方が増えており、Thirdはそうした方からダイレクトに相談を受けるケースが多いことも特徴です。
WHOAREYOUは広告映像を中心としたプランニングとディレクションを担っています。現在の広告業界で最も注目されているディレクターのひとりといえる佐藤渉は自己流で演出を学び、唯一無二の個性と才能を伸ばしてきました。ポテンシャルのある人材の能力を最大限に引き出すという土壌がTYOにはあります。WHOAREYOUの6人が自分のやりたいこと、やるべきことを明確に示し、73人のプロデューサー陣が彼らの持ち味を見極めながらアウトプットの質を高めていくことが大切だと考えています。
ThirdとWHOAREYOUは今年に誕生した事業ブランドで、Thirdは多様化、複雑化するクライアントのニーズへの対応をミッションとしています。現在はオフラインとオンラインを共存させ、メディアの特性を生かしたアウトプットによるコミュニケーションが主流となっています。あらゆるメディアについて最先端の情報をキャッチアップし続けることは簡単ではありませんが、マス、デジタル、イベントといった接点を連動させながら新たな映像体験を創出しております。また当社の顧客は広告会社がメインとなりますが、近年では広告会社から広告主へと転職する方が増えており、Thirdはそうした方からダイレクトに相談を受けるケースが多いことも特徴です。
WHOAREYOUは広告映像を中心としたプランニングとディレクションを担っています。現在の広告業界で最も注目されているディレクターのひとりといえる佐藤渉は自己流で演出を学び、唯一無二の個性と才能を伸ばしてきました。ポテンシャルのある人材の能力を最大限に引き出すという土壌がTYOにはあります。WHOAREYOUの6人が自分のやりたいこと、やるべきことを明確に示し、73人のプロデューサー陣が彼らの持ち味を見極めながらアウトプットの質を高めていくことが大切だと考えています。
現場を大切にするTYOの原点に回帰し
伝えるプロダクションワークを強化
— 今後の展望についてお聞かせください
AOI TYO Holdingsがコンテンツプロデュース事業とコミュニケーションデザイン事業のふたつに事業体を分割し、今後の成長領域に投資する方向に舵を切りました。その中でTYOはコンテンツプロデュース事業でクオリティーを突き詰めながら今まで以上に業界での存在感を放ちたいと思っています。その実現に向けた一環として、現場で活躍しているプロデューサーを取締役に抜擢しました。役員それぞれが各事業ブランドを担当し、現場でのリアルな体験から見えた取り組むべき課題をスピーディーに共有しさまざまな施策へと落とし込んでいく。元々TYOは現場の5人が立ち上げた会社ですので、原点回帰ともいえるかもしれませんね。今年の1月に新体制で再スタートを切り、当社にはユニークなキャラクターのプロデューサーが数多く在籍していることを再発見できました。これを武器に我々が今後どのように活躍できるかをあらためて探っているところです。
プロダクションワークとは、いわば“伝える”ことです。演出家が企画コンテを演出コンテに仕上げる段階で、クライアントのメッセージが伝わるようにジャンプアップさせる。ロケーション、アングル、ライティング、音楽、出演者といったさまざまな要素を組み合わせ、どうすれば最も効果的に伝わる映像になるかを経験として蓄積してきたことが当社の最大の強みになっています。これらのナレッジを社内共有するデータベースを構築すると同時に、それぞれが切磋琢磨を続けていく。「We drive emotions.」と掲げている通り、「心を動かす」という視点を大切にしながら、より多くの人に伝わるコンテンツを世の中に発信していきたいと考えています。
プロダクションワークとは、いわば“伝える”ことです。演出家が企画コンテを演出コンテに仕上げる段階で、クライアントのメッセージが伝わるようにジャンプアップさせる。ロケーション、アングル、ライティング、音楽、出演者といったさまざまな要素を組み合わせ、どうすれば最も効果的に伝わる映像になるかを経験として蓄積してきたことが当社の最大の強みになっています。これらのナレッジを社内共有するデータベースを構築すると同時に、それぞれが切磋琢磨を続けていく。「We drive emotions.」と掲げている通り、「心を動かす」という視点を大切にしながら、より多くの人に伝わるコンテンツを世の中に発信していきたいと考えています。