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株式会社たきコーポレーション


インタビュイー
取締役 FOCUSカンパニー代表
市川 貴之氏 
1986年たき工房入社。 大手広告代理店からの広告制作案件を多数プロデュース。広告代理店への2年間の出向を経て、たき工房制作部、プロデュース部のマネジメントを歴任。2022年3月よりたきコーポレーション 取締役として、動画・スチール制作を手掛ける社内カンパニー・FOCUSの代表を務める。

デザイン視点の映像制作で心を動かす

広告制作において国内有数の規模を誇るたきコーポレーションはグラフィックとデジタル分野に加え、ブランドデザインやUXデザインのサービス強化を目的として、2021年より大幅な事業再編を実施してきた。付加価値の高い映像やスチール制作を手掛ける同社の社内カンパニー・FOCUSの代表 市川貴之氏に同社の強みや映像作りに対する考え方についてお話をうかがった。(取材:2024年6月18日)
【 CM INDEX 2024年7月号に掲載された記事をご紹介します。】


企業のコミュニケーション活動や
時代の変化に合わせて事業再編を実施

— 貴社設立の経緯、および事業再編の狙いについてお聞かせください
 たきコーポレーションの前身となるたき工房は1960年に創業し、来年創業65周年を迎えます。設立時よりグラフィックデザインを強みとする制作会社として、広告制作を中心に事業を展開してきました。ただ、企業のコミュニケーション活動や時代が大きく変化する中で、Web制作をはじめ、UI/UX、ブランディング、映像制作などの成長分野への対応が求められてきたことから、企業再編を実施し、2021年にグループ企業6社を合併して、株式会社たきコーポレーションを設立。同時に、これからの時代にマッチした企業であること、また業界をリードしていく立場として、その進むべき道を指し示すため、専門領域に特化した社内カンパニー制を導入しました。そのひとつとして2022年に誕生したのが、映像制作・撮影関連などを専門とするビジュアルクリエイティブカンパニー「FOCUS」です。旧たき工房内の映像制作チームだったムービーラボと、グループの撮影部門を担ってきた日本コマーシャルフォトが統合し、映像制作・撮影関連などを専門に手掛けています。また、サブドメインとして2Dレタッチ、エディット、3D制作、グラフィックデザインなどにも対応するなど、その領域は幅広く、映像、撮影にとどまらない高付加価値なビジュアル制作を行っています。

映像のひとコマひとコマを
グラフィックデザインの連続と捉えて制作

— FOCUSならではの強みをお教え願います
 FOCUSは当社のビジュアル・映像制作の中核を担う組織で、動画制作や編集、グラフィックの撮影など、ビジュアルに関して幅広く対応する体制を取っています。FOCUSの一番の強みはデザイン視点での映像制作という点です。CMやMVなどを手掛ける制作会社さんの大半は、映像軸でもの作りをされていると思います。一方、我々は創業時からのDNAであるデザインが思考の軸となりますので、映像のひとコマひとコマを1枚絵のように捉えるんですね。グラフィックデザインの連続と言うと分かりやすいかもしれません。映像をひとかたまりで見るのではなく、カットごとに映像の画角やトリミング、文字のインサートの仕方といった細部に至るまでこだわり抜くことで、完成度の高い映像を作り上げるよう意識しています。
 またグラフィックデザイナーや映像ディレクター、フォトグラファー、モーションアニメ専門のデザイナーといったさまざまな得意分野を持つクリエイターが大勢在籍していることも特徴です。こうした多才なスタッフの力を集結し、クオリティーの高い映像を提供できていることも当社ならではの価値だと捉えています。

得意分野が異なるふたつの組織の
スタッフが動画制作を経て信頼関係を構築

— FOCUSの代表的なクリエイティブワークについてお聞かせください
 代表的な制作事例としては『END=START』という、社内プロジェクトで制作した映像作品が挙げられます。内容としては真っ白な空間に置かれたりんごや象の置物などがリズミカルに登場し、「appl“e”」の「e」が浮遊して「“e”lephant」という単語が完成するといったグラフィカルな要素も含む120秒の動画です。これは先ほどお伝えした、FOCUS設立時に行われたムービーラボと日本コマーシャルフォトの統合を象徴する作品でもあります。得意分野や文化の異なるふたつの組織で育ってきたメンバーが、互いのスキルを把握して協力することでどのような成果を生み出せるのか。その実験と訓練の一環として制作されたもので、社内のディレクター、フォトグラファー、デザイナー、エディターといったスタッフがそれぞれ企画、撮影、編集までを担当し、音楽以外はすべて内製で仕上げました。ありがたいことに社外のアワードでも評価いただいたのですが、本プロジェクトを通して社員がそれぞれの能力や強みを理解し合ったことで信頼関係が生まれ、その後の制作活動がより良いものとなったことが印象深かったです。
 また最近では、たきコーポレーションのスケールメリットを生かしたブランディング×映像、Web関連×映像、グラフィックプロモーション×映像などのご依頼が多く、なかでも広告会社はもちろん、広告主から直接ご相談をいただくケースが非常に増えてきています。当社にとって映像制作はあくまでも手段ですので、お客さまの課題に対して最も効果的なソリューションを見極めた上で、映像に限定せず最適なコンテンツをご提案することを大切にしています。

たきコーポレーション FOCUS 『END=START』
音楽に合わせてリズミカルに登場する「モノ」たち。その「モノ」はある規則性に沿っている。「モノ」の美しさを見せつつ、構成、編集、デザインの面白味を見せる。

もの作りを通して人の心が動いたか
何かが変わるきっかけを生み出す

— 映像を制作する上で大切にされていることとは
 たきコーポレーションの理念は「人の『思い』をカタチにする。」というもので、事業再編以前から社内に深く浸透している言葉です。これに加えて、昨年『IGI』というブランディング部門の社内カンパニーを設立したこともあり、「つくる。その喜びで、生きる。動かす。」というパーパスを1年ほどかけて作成しました。これは弊社で働く社員の皆が、“もの作りが好き”であることに基づいています。映像制作をはじめさまざまなもの作りを通して人の心が動いたか、世の中が変化したか。仕事に責任を持って向き合いながら、何かが変わるきっかけを生み出していこう。こうした思いを日頃から大切にしています。
 FOCUSは設立3年目の新しい組織ですので、これからも映像業界の常識にとらわれず、デザイン会社ならではのオリジナリティーのある映像制作にチャレンジしていきたいですね。また人の心を揺さぶる作品をひとつでも多く世に出すことで、当社の存在感をこれまで以上に高めていければと考えています。

dotFes2024 TOKYO TSUKIJI|Webクリエイティブの学園祭2024年8月25日(日)会場:たきコーポレーション
多彩なクリエイターやコミュニティー、テクノロジーベンダーなどが出展する、Webクリエイティブのためのコミュニケーションイベント。4年ぶり13回目の開催となる。