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ノースショア株式会社


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インタビュイー
石井 龍氏 代表取締役社長 CEO
学生時代に映像編集などを学び、映像制作会社を経てCMの世界へ。2004年に劇場公開映画「NO MUSIC, NO LIFE.」を監督。CMディレクターとして数々のナショナルクライアントを担当し、2008年にnorthshore Inc.を設立。

“Surfer”が作り出す世界でひとつのクリエイティブ

2008年創業のノースショア株式会社は広告制作に加え、敬意を込めて“Surfer”と呼ばれている同社のクリエイターがクライアントの課題の本質を共有し、最適なソリューションを提供するといった従来の制作会社とは一線を画したサービスを提供。またクリエイターの業務を効率化するクラウドサービスを開発するなど、ユニークな施策にも力を入れている。同社代表取締役CEOの石井龍氏に企業の強みや今後の展望などについてお話をうかがった。(収録:2020年12月22日)
【 CM INDEX 2021年2月号に掲載された記事をご紹介します。】


— 貴社の特徴、強みについてお聞かせください
 映像、グラフィックデザイン、デジタルコンテンツに加え、クリエイティブ戦略までワンストップで手掛けている点が多くのお客さまに選んでいただいている理由だと考えています。一般的な広告制作フローですと、広告主から依頼を受けた広告会社がメディアやクリエイティブの戦略設計をし、制作会社などの各社に発注します。当社ではスタートアップのクライアントであればビジョン、ミッション、バリューの抽出のサポートから入るケースもあります。メディアの多様化によって広告コンテンツの数が急増する中で、各メディアのコンテンツをひとりのプロデューサーを通すだけで発注できるため、広告会社へのサービスとしても、コミュニケーションのスムーズさや納品までのスピード感、コストパフォーマンスという点は大きな武器になっているのではないでしょうか。

サーフィンのメッカであるハワイの“ノースショア”をイメージしたオフィス。サーフボードが置かれるなどリラックスできる空間となっており、同社が掲げる「世界で唯一のクリエイターの働く楽園をつくる。」という思いが体現されている

— ウェブを中心にさまざまな広告を手掛けられています
 組織学のコンサルティングなどを行っている識学さんのCMは、テレビだけでなくウェブやタクシーアドで流れていたこともあり、スタートアップ企業やベンチャーキャピタルの方からの評価が高いと感じますね。
 ノースショアにちなんだところでいえばハワイ州政府観光局さんのブランディング広告、そのほかトリンプ・インターナショナル・ジャパンさんの『天使のブラ』25周年記念ムービー、アメリカ発の掃除機ブランド『Shark』のCMやウェブ動画、グラフィックなども手掛けています。
 クラフトビールの『よなよなエール』の「先輩風壱号」はADFEST2019のほか数多くの広告賞を受賞しました。当初はテレビCMについてご相談をいただいていたのですが、「飲み会の場でよなよなエールが選ばれるには」という切り口にフォーカスし、ウェブムービーに変更したケースです。さまざまなハラスメントが社会問題化していた中で、上司から部下へのパワハラの場とされてきた飲み会を変えるというメッセージが共感を呼びました。最近では石川コンピュータ・センターの新卒採用ページとして、恋愛ゲーム仕立てのサイトを構築しました。ゲームを楽しみながら同社への理解を促進する仕掛けで、かなり思い切った企画になっています。こうした企画の場合はアイデアに加えて技術的な実現性も重要ですが、当社には優秀なテクニカルディレクターが所属していますので、技術的な相談から実装までを総合的に依頼できるという点についてお客さまから「安心感がある」などの声をいただくことが多いですね。

有楽製菓/ブラックサンダー「ザクザク」篇
昨年9月実施のリニューアル告知。幅広い層、商品の離反層30、40代男性への認知を狙い長州力を起用。YouTubeや特設サイトなどで動画を公開し、商品のザクザク感が増し、おいしくなったことを伝えた

クリエイティブに全力を注げる環境を整え
クリエイターの持つ力を拡張

— synco、クリショアといった取り組みがユニークです
 クリエイティブの仕事に没頭できる“クリエイターの楽園”に向けた環境を整えることと、生産性を高めることで長時間労働や収益構造の変化といった制作会社の課題を解決する一助にすべく取り組んでいる施策です。
 2017年にリリースした『synco(シンコー)』はクリエイティブ制作業務のスケジュール管理やタスク進捗、カット表などの資料が簡単に作れるツールです。時間がかかるPPM資料も自動で作成できるなど、作業時間の短縮が可能です。
 ただセールス的にはうまくいかなかったこともあって、現在は一機能だったカット表の簡単作成をスピンアウトした『カットウヒョー』を展開中です。従来の作業時間比で平均60〜70%程度の削減ができます。
 『クリショア』※1は広告映像クリエイターのポートフォリオの共有や検索ができるプラットフォームです。ディレクター候補のクライアントへの提案は1回当たり3人ほどするのが一般的ですが、決まらなかったり提案が複数回になることがあります。現場では業界紙を見ながら複数の候補の方に連絡をし、ポートフォリオを取り寄せてプレゼン資料を準備する。これを繰り返し、ディレクターが決まるまでに3週間かかるケースもあります。現場にとって時間やストレスが掛かるケースが多く、プラットフォーム化することでこうしたロスの削減を目指しました。リリースして2年経ちますが思った以上の反響があり、現在はディレクターやシネマトグラファーなどクリエイター数が500人、登録ユーザーは2000人を超えています。将来的にはクリショアを通してより案件が生まれやすい状態やクリエイターの評価の見える化の実現などをしていくことで、業界としてさらに発展してほしいと考えています。
 独自の取り組みとして、プロデューサーは“コンサルティングプロデューサー”、プロダクションマネージャーは“コンサルティングマネージャー”と呼んでいます。クライアントの課題解決に向けたメンバーの一員だとスタッフが意識することで、例えば映像の相談に来たクライアントに「この課題解決であればウェブの方が効果的です」といった提案をするなど、コンサルティングとしての一面を重視しています。実際に紙媒体のキャンペーンで来たものがスタッフの提案でウェブ施策が加わり、結果SNSで大きく拡散された案件もありました。スタッフがデジタル系のスタッフとも長く一緒に働く中、課題解決のアウトプットが増えることで成長し、肩書きにふさわしい働きを見せていることをうれしく思っています。

※1 クリショア
「クリエイターとの出逢いを、もっと早く、もっと簡単に。」をコンセプトに開発されたクリエイターの検索プラットフォーム。作りたい映像に適したクリエイターを簡単に探せるほか、資料作りなどの機能も充実

— 今後の展望についてお聞かせください
 今後も動画やデジタルコンテンツのマーケットが拡大していき、それに関わるクリエイターが成長していくと思います。その中でもSNSを絡めた解決策の重要度が増していくと想定されますが、ノースショアでもSNSに知見を持ったクリエイターを強化し、よりクライアントの課題解決に最適なコンテンツを制作していくことで応えたいと考えています。
 私たちが“クリエイターの楽園”を実現することで、そこから生まれた優れたクリエイティブワークがクライアントに利益をもたらすと考えています。今後もあらゆるメディアを通して当社の持つクリエイティブ力を発揮し、お客さまに最適なソリューションを提供していきたいですね。