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コネクション株式会社(Headlight)


インタビュイー
代表取締役 Executive Producer
麻生 峻司氏 
2018年に東北新社から独立し、コネクション株式会社に参画。プロダクション事業Headlightを立ち上げ、2022年より同社代表取締役。広告映像をメインにさまざまな映像、グラフィック、イベントなどのプロデュースを現場最前線で行う。皆が責任を持ち熱意を注げる仕事にするプロデュースができるよう日々奮闘中。

進むべき方向を照らし続ける存在に

映像ディレクター、エディターなど各分野のスペシャリストのマネージメントを担うセクションであるCONNECTIONと、CMやMVなどの映像制作を手掛けるHeadlightで構成されるコネクション。家族を描く日本マクドナルドの企業広告やオープンハウスなど数々のヒットCMを手掛けているHeadlightの事業について、代表取締役の麻生峻司氏にお話をうかがった。(取材:2024年5月8日)
【 CM INDEX 2024年6月号に掲載された記事をご紹介します。】


より良い映像を作るため
どんな状況でも常に前を照らす

— 貴社の設立の経緯、強みについてお聞かせください
 CONNECTIONは2018年に第一線で活躍するディレクターや優秀なエディター、カメラマンなど映像クリエイターのマネジメント会社としてスタートしました。それぞれにアーティストとしてのプライドを持った志の高いメンバーが集まり、映像制作現場の上流からものづくりができる体制を作るという思いから生まれた組織です。現在、当社はクリエイターを含め計40人ほどが在籍しています。
 立ち上げ当時、僕は前職で独立を考えていたタイミングで声を掛けてもらい、プロダクション事業の立ち上げを担うことになりました。その際、プロダクション事業に関しては「Headlight」という名前でやりたいと。車のヘッドライトそのままですが、僕らの仕事は「前を照らし続けなければいけない」という思いで名付けました。映像制作の現場は常にメンバーが入れ代わり、お互いを理解し合いながら物事を進めることが難しい場面も多い。そうなると舵取りをするプロデューサー、PMの力量が重要で、小さなことでも推進力を持ってリードしないとどんどんゆがんでいってしまうんです。どんな状況であっても、一つひとつの映像をより良いものにするための方向を示していく。それが僕らプロダクションの役割だと考えています。

作り手の愛がないものに
人の心を動かすことはできない

— 直近のクリエイティブワークについて
 日本マクドナルドさんのお仕事を多く担当しています。伊藤沙莉さんら出演の『三角チョコパイ』や『ひとくちチュロス』などで、なかでも企業広告シリーズの「家族といっしょに。」は立ち上げから関わってきた思い入れのあるCMです。NON STYLEの石田明さんが姉妹の父親を演じた「ハッピーセット卒業式」篇から始まり、優香さんに出演いただいた「旅の前の朝マック」篇など、マクドナルドがファミリーのためのブランドであり、家族の記憶や思い出に紐づきながら育ってきたことを伝える広告です。具体的な商品を売るためのものではない広告にこれだけの力を注ぐクライアントさんの思いが素敵だと思いますし、そこに毎回全力でスイングしにいっているスタッフの熱量を間近で感じることができています。上京したばかりの女性を主人公にした最新作は新宿の駅前や歌舞伎町でロケをしたのですが、普通だったらハードルが高すぎてほかの場所にするところを、リアリティーを追求するためにどうしてもとスタッフ全員が覚悟を決めて撮影に臨みました。CMはアート作品ではないので、自分たちを表現するものを作っているわけではありません。ですが、このシリーズは「僕らのものになっている」という感覚があります。関わっている全員が、誰かの心に届くものにしたいという思いのもと懸命に取り組んでいます。「ファミリーブランド」と掲げる以上は作り手に愛がないと人の心を動かすものにはできないと。もちろんこれまでのどんな仕事にも愛情を注いできましたし、逆にそれがなければこの仕事をする意味がないと思いますが、心を込めて作ることの大切さを再確認できる仕事だなと感じています。
 もうひとつは10年近く制作させていただいているオープンハウスさんのCMです。クライアントとは近い距離感で話し合えるフラットな関係で、事前の企画時から密にコミュニケーションを取りながら進めています。CMでは大きく見せようと背伸びをしたり、格好つけたりせず、日頃どのような営業活動をしているかといったオープンハウスらしさを大事にしながらも、「都心で駅の近くに一軒家を持つ」という現実的な欲求をどれだけエンタテインメントにできるかを常に考え続けています。

日本マクドナルド/家族といっしょに。「ちがう街、おなじ味」篇
上京した女性(野内まる)が故郷の家族を思い出しながらハンバーガーを食べる姿に「マックは、ホームシックにすこし効く。」というコピーを重ねた。にんじんがカバーした『カントリーロード』をBGMに展開した。


オープンハウス「マイホームマン 格闘」篇
怪獣に襲われた街でビジネスマン役の堺雅人が巨大化し、マイホー ムの予定地を必死で守るシリーズ。第2弾は堺が怪獣に停戦を申し 入れるも、所有地の看板を踏まれ「コノヤロー!! 」と挑むストーリーだ。

思いやりやひと工夫が表現を強くする
広告だからこそ120%の力を注ぐことが重要

— CONNECTIONはクリエイターを「アーティスト」と位置づけていますが、広告にとって作家性とは
 作家性はとても必要なものだと考えています。アーティストが単なるエゴでこだわる「作家性」は要らないのですが、広告における作家性ってつまりは「思いやり」じゃないかなと個人的には思っています。セットの作り方、撮影の仕方ひとつでも何かしらの工夫を加えることで、表現全体が少しでも強くなればいいですよね。クライアントのためになるかどうかを見極めながら、必要だという確信があるならどんなに大変でもやるべきだと考えます。そのためには意見を戦わせることも大切で、たとえぶつかったとしても広告として機能するものを追求するべきです。広告主からお金をいただいて作るからこそ自分たちも120%の力を注ぐ。その思いやりとひと工夫が作家性であり、自分たちが広告に関わる意義だと考えています。

ゼロからスタートする気持ちで向き合い
いつかは世の中を動かす大ヒットを

— 今後の展望などについてお聞かせください
 僕は2022年にCONNECTIONの社長になりましたが、会社全体で何か成し遂げられたかというと、正直まだゼロの状態だと思っています。NHK大河ドラマ『青天を衝け』のオープニングは僕がプロデュースを担当し、ディレクターに柿本ケンサクをアサインして編集までを一気通貫で行った当社らしい仕事で、こうした仕事をこれからも積み上げていきたいですね。CMだけでなくドラマやMVなど幅広い分野で活躍するクリエイターが集まっていますので、より高みを目指し、ここからスタートする気持ちで日々取り組んでいきたいと考えています。
 理想は僕らHeadlightやCONNECTIONがブランドになることです。近年、アメリカのA24という映画制作会社が注目を集め、ひとつのブランドになっています。確固たる実力と強い信念がないとブランドは育たないので、まだやるべきことは多いですが、「この会社と仕事をしたい」と思ってもらえるよう、一つひとつの仕事に全力で向き合っていきたいです。あらゆることが細分化している今この時代に、みんなが知っているような大ヒットを生み出すことは非常に難しくなっていますが、いつか作ってみたいと思います。