〈CM総研レポート〉パリ五輪CM概況
日本コカ・コーラやトヨタは五輪CMを展開せず
パリ五輪はパートナー企業のCMが大幅減
7月26日から8月11日に開催されたパリ五輪期間中のCM概況を振り返る。直近4大会のパートナー企業で五輪訴求(オリンピック・パラリンピック・応援・スポーツ関連・開催地)をした商品・企業CM(大会ロゴのみ使用のCMは除く)の動向を確認すると、パリ大会は放送回数、CM好感度ともに最少だったほか、東京大会ではパートナー企業33社が五輪CMを展開したのに対し、パリ大会は9社にとどまった。これまでの大会に比べ、CMでは盛り上がりに欠けたといえよう(図表1)。ロンドン大会では『ドラえもん』の“出木杉”を体操の内村航平が演じたトヨタのCMがヒットするなど、これまで各社が五輪に関連した特別感のあるCMで話題を集めてきた。そのトヨタは2大会連続で五輪CMを展開せず、スポンサー契約をパラリンピックも含めパリ大会で終了することを発表。数々の五輪CMを送り出してきた日本コカ・コーラはバスケットボール日本代表の河村勇輝の日常を描く『ジョージア』のCMを放送したものの、五輪をテーマとしたCMは展開しなかった。
三井不動産の「三井のすずちゃん」シリーズが好評
KDDIはわずかな放送ながら得票
パリ大会の五輪CMの放送回数トップ3(8月度)は三井不動産の324回(東京大会:746回)、久光製薬の226回(同:16回)、サムスン電子の108回(同:191回)だった。これまでは五輪に合わせてCMのクリエイティブと出稿の両面で力を入れる企業が多く、大会に花を添えてきたが、今大会ではそうした熱気は見られなかった。五輪ならではの表現で生活者の心を捉えたCMとしては、広瀬すずが“三井のすずちゃん”として登場する三井不動産のCMが挙げられる(図表2)。東京の街を舞台にポスターやサイネージに映された広瀬が動きだし、車いすラグビーの今井友明選手らとともにボールを回す映像で、「さあ、街から未来をかえよう」のコピーを印象づけた。
KDDI『au』は「パ裏(リ)」をコピーに阿部一二三、阿部詩らアスリートの競技シーン、プライベートの両面を映すCMを25回放送し、効率よく得票。久光製薬は「手当てのチカラ」をコピーにさまざまな競技のアスリートを映すCMを展開し、ビザ・ワールドワイドはブレイキン日本代表のShigekixこと半井重幸を起用した。サムスン電子はスマホ画面のような縦型映像の黒枠をアスリートが手足で広げる表現で「Open always wins」というメッセージを伝えた。前述のトヨタだけでなく大手企業による大会スポンサーの降板がニュースとなるなど、五輪とCMの関係には大きな変化が起きている。ただ、心が揺さぶられる五輪CMによって企業イメージやブランド価値が高まることも事実で、今後どのようなCMが展開されるのか期待したい。
KDDI『au』は「パ裏(リ)」をコピーに阿部一二三、阿部詩らアスリートの競技シーン、プライベートの両面を映すCMを25回放送し、効率よく得票。久光製薬は「手当てのチカラ」をコピーにさまざまな競技のアスリートを映すCMを展開し、ビザ・ワールドワイドはブレイキン日本代表のShigekixこと半井重幸を起用した。サムスン電子はスマホ画面のような縦型映像の黒枠をアスリートが手足で広げる表現で「Open always wins」というメッセージを伝えた。前述のトヨタだけでなく大手企業による大会スポンサーの降板がニュースとなるなど、五輪とCMの関係には大きな変化が起きている。ただ、心が揺さぶられる五輪CMによって企業イメージやブランド価値が高まることも事実で、今後どのようなCMが展開されるのか期待したい。
【 CM INDEX 2024年10月号に掲載された記事です。】
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ご希望のテーマに合わせたレポートをご提供いたします。さまざまな角度からの検証が可能ですので、ぜひお問い合わせください。
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