〈CMトレンドに学ぶ 生活者の心の捉え方〉消費者を動かす「音」の使い方
2024年8月度・ターゲットに合わせた『スーパードライ 生ジョッキ缶』の表現手法
CM総合研究所のさまざまなデータからCM動向を深掘りし、生活者の心の捉え方を探っていく本コーナー。今回は8月度に初のトップ3入りを果たしたアサヒビール『スーパードライ』の『生ジョッキ缶』のCMを検証する。
【 CM INDEX 2024年10月号に掲載された記事をご紹介します。】
アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶のCMが
オリンピアン出演作を上回るスコアを獲得
アサヒビール『スーパードライ』が2024年8月度のCM好感度で総合3位となり、同ブランド初のトップ3入りを果たした。パリ五輪の開催期間と重なり、オリンピアンである五十嵐カノアや八村塁の出演CMを含む9作品を展開。スコアを伸ばしたのは『生ジョッキ缶』のCMだった。同社の進化の代名詞ともなった『生ジョッキ缶』(2021年4月発売)はフルオープンかつ開栓すると自然発泡する缶を用いた世界初の商品で、飲食店のジョッキで飲むようなクリーミーな泡が楽しめることが特長だ。
CMでもその唯一無二の魅力を訴求しており、第1弾CMは2022年3月より「生ビール、つくっちゃおう!」というコピーのもと、中島健人と菊池風磨、白石麻衣と西野七瀬がぞれぞれ出演。栓を開けた缶から泡が湧き上がるシズル映像に続き、コンビニエンスストアに駆け込むキャストを描いた。アルコール離れの進む20、30代をメインターゲットに、ビジュアルのインパクトを前面に押し出した表現で商品の持つ新規性や高揚感をアピールした。2023年1月からは「まるでお店の一杯目!」をコピーにBGMを『Wild Thing』のカバー曲に変え、同年3月には岡田准一と生田斗真にキャストをスイッチ。ターゲットの年齢層を高めに設定した表現に切り替えた。4人組の男女が飲食店で乾杯する映像に続き、岡田と生田が「これ本当に缶ビール!?」と驚きながら商品を味わう様子を描いた。同年秋冬はさまざまなシチュエーションで商品を楽しむ人々を映すノンタレントCM、2024年1月からはお笑いコンビ・トータルテンボスやファーストサマーウイカがそれぞれ楽屋で商品の感想を自然な表情で語るCMを放送。3月には岡田と生田が仲間とホームパーティーを楽しむCMをオンエアした。
CMでもその唯一無二の魅力を訴求しており、第1弾CMは2022年3月より「生ビール、つくっちゃおう!」というコピーのもと、中島健人と菊池風磨、白石麻衣と西野七瀬がぞれぞれ出演。栓を開けた缶から泡が湧き上がるシズル映像に続き、コンビニエンスストアに駆け込むキャストを描いた。アルコール離れの進む20、30代をメインターゲットに、ビジュアルのインパクトを前面に押し出した表現で商品の持つ新規性や高揚感をアピールした。2023年1月からは「まるでお店の一杯目!」をコピーにBGMを『Wild Thing』のカバー曲に変え、同年3月には岡田准一と生田斗真にキャストをスイッチ。ターゲットの年齢層を高めに設定した表現に切り替えた。4人組の男女が飲食店で乾杯する映像に続き、岡田と生田が「これ本当に缶ビール!?」と驚きながら商品を味わう様子を描いた。同年秋冬はさまざまなシチュエーションで商品を楽しむ人々を映すノンタレントCM、2024年1月からはお笑いコンビ・トータルテンボスやファーストサマーウイカがそれぞれ楽屋で商品の感想を自然な表情で語るCMを放送。3月には岡田と生田が仲間とホームパーティーを楽しむCMをオンエアした。
楽曲・フレーズの変更でスコアアップ
“ドラクエ世代”の心を捉えて初のトップ3入り
8月度に『スーパードライ』がCM好感度を大幅に伸ばした要因は『生ジョッキ缶』のCMの楽曲をドラゴンクエストの『ロトのテーマ』へ変更した影響が大きいといえよう。7月に開始した本作は岡田、生田に加えて長澤まさみが出演。彼らが仕事終わりなどに晴れやかな表情で『生ジョッキ缶』を開栓する姿に「泡ごといくぞ、缶パカパーン!」のコピーを重ねる内容だ。Wild ThingをBGMに岡田と生田が出演したCM、ロトのテーマで岡田、生田、長澤が出演したCMのトータルスコアを比較すると、CM好感度に対するCM好感要因の「音楽・サウンド」の割合が約20%から約50%と2倍以上に伸長。支持層も“ドラクエ世代”といえる40代からの得票が目立ち、「ロトのテーマがCMに非常にマッチしている」といった楽曲への感想が多数寄せられたほか、「缶パカパーン!」のコピーに関する記述も目立った(図表3)。音楽によって想起されるゲームの楽しさと商品がもたらす高揚感をリンクさせ、語感の良いコピーとともに表現したことで視聴者の心を動かしたようだ。
楽曲とブランドイメージの親和性が
高い相乗効果を生み出す
同商品のほか8月度のCM好感要因の「音楽・サウンド」のスコアが高い作品を見ると、商品・サービスの価値と楽曲をひも付け、選曲に必然性を 感じさせた点が好評価につながったようだ。原曲のイメージと親和性の高い表現で情緒的価値を伝えたCMとしては『I feel coke』をBGMに展開した日本マクドナルド『ビッグマック』が挙げられる。この楽曲は1980年代に『コカ・コーラ』のCMソングとしてヒット。多くの人がビッグマックのセットドリンクにコカ・コーラを選ぶことから、まさに“最強コンビ”としてCMに使用されたという。また花王『メリット』、サントリー食品インターナショナル『サントリー天然水』はCMのメッセージや世界観に合わせて楽曲をアレンジした。親子を描くアニメCMで展開する前者はエレファントカシマシの『今宵の月のように』を子どもの声に、柄本佑が男の子の父親を演じるCMが好評の後者は一青窈の『ハナミズキ』を中高生の合唱に変更。いずれも家族愛や次世代への思いが伝わる作品として多くの支持を集めた。
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ご希望のテーマに合わせたレポートをご提供いたします。さまざまな角度からの検証が可能ですので、ぜひお問い合わせください。
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