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〈CMトレンドに学ぶ 生活者の心の捉え方〉 深い共感を呼ぶユーモアあるCMに勝機


2024年5月度・『Uber Eats』に見るリアリティー×エンタメ性の効力

急速に変化する現代、どのようなCMが生活者の心を動かしているのか。本コーナーではCM総合研究所のさまざまなデータからCM動向を深掘りし、生活者の心の捉え方を探っていく。今回は5月度に初の総合1位に輝いた『Uber Eats』を中心に、ユーモアの力で共感を集めた事例を検証する。
【 CM INDEX 2024年7月号に掲載された記事をご紹介します。】

Uber Eatsが自己最高スコアで初の総合1位
リアリティーのある出演者とハプニングがフックに

 CM好感度調査を開始した1989年からCMへの好感要因のトップは「出演者・キャラクター」で、次いで多かったのが2009年度までは「ユーモラス」だ。その後は徐々に下がり、2023年度は全15要因中の5番目、チェック率は過去最少に落ち込んだ。今年5月度のCM好感度トップ5は2位のキリンビール『晴れ風』をのぞく4商品が自己最高スコアを獲得し、そのうち初の首位に立ったUber Eats Japan『UberEats』、3位のオープンハウス、5位のサントリー『オールフリー』は「ユーモラス」「ストーリー展開」のチェック率が高かったことが特徴だ。当月度にCM好感度を獲得した全943商品のチェック率を見ると「ユーモラス」が27%、「ストーリー展開」が21%であるのに対し、前述の3ブランドはいずれの項目でも3、4倍程度を記録。ストーリーで表現されるユーモアがCM好感度アップの大きな理由だったことが分かる(図表1)。 

 Uber Eatsはサービスのヘビーユーザーで実の夫婦である中尾明慶、仲里依紗を起用。CMは宅配の利用を提案するパートナーをよそに料理を作ったり買い物に出掛けたりするも予想外の出来事が起こり、「やっぱり Uber Eats で、いーんじゃない?」のメッセージを印象づける内容だ。仲が調理しようとしていた魚を猫に奪われてしまう『サザエさん』のオープニング曲を思わせる展開や、炊飯器が突然爆発するといった往年のコント風のハプニングなどでエンタテインメント性を高め、30代を筆頭に幅広い層から支持を獲得。CM好感要因は前述の2項目に加え「出演者」「宣伝文句」「説得力に共感した」などで総合1位に。「本物の夫婦で出演していてリアル感があると思った」「Uber Eatsを使った方が楽で手軽ということを極端に伝えているのがおもしろかった」といった声が寄せられ、話題性のあるキャストやバリエーション豊かなオチがフックとなったことが見て取れる(図表2)

広告ならではの誇張表現やキャスティングで
エンタメ性を高め深い共感につなげる

 CMからユーモアのある表現が減っている今だからこそ、人々を楽しませるCMはより印象に残りやすく、そのポジティブな体験がブランドへの愛着を醸成する。こうしたユーモラスな要素を持つCMは単なる広告にとどまらずエンタテインメントとして幅広い世代の人々の心を捉え、深い共感を抱かせる力があるのではないだろうか。
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