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広告主インタビュー 日本マクドナルド株式会社【2023年度 CM好感度 ベスト・アドバタイザー】


ブランド価値を描くCMで共感を獲得

2年連続で企業別CM好感度総合1位である「ベスト・アドバタイザー」に輝いた日本マクドナルド。2023年度のコミュニケーション活動の狙いや広告作りに対する考え方について、同社のズナイデン房子氏にお聞きした。
(取材:2024年5月15日)
【 CM INDEX 2024年6月号に掲載された記事をご紹介します。】

日本マクドナルド株式会社
取締役 上席執行役員 CMO
ズナイデン房子氏

長崎県出身。筑波大学卒業後、資生堂に入社。ユニリーバ、日本ロレアル、日清食品ホールディングスなどを経て、2018年10月に日本マクドナルド入社、2023年3月より現職。2021年12月よりオリオンビール 非常勤取締役を兼任。
代表的なCM
三角チョコパイ「黒とザクザクミルクキャラメル」篇(2023年10月10日オンエア開始)
「♪三角チョコパイの季節」といったCMソングをBGMに、伊藤沙莉とKing Gnuの井口理がダンスをする内容だ。このほか「家族といっしょに。」をコピーとした企業CMや『マックカフェ』『ハッピーセット』『月見ファミリー』など多彩なCMを展開し、幅広い世代から支持を集めた。

企業別CM好感度で2連覇を達成
店頭でお客さまと接するクルーの皆さんの力が土台

—『三角チョコパイ』などの多彩なCM展開が支持を集め、2年連続でベスト・アドバタイザーに輝きました
 マクドナルドとお客さまの最大の接点は日本全国の店舗ですので、日頃からお客さまへ素晴らしいブランド体験を提供している20万人のクルーの皆さんのホスピタリティーが土台にあるからこそ、このような評価をいただけたと考えております。これからも視聴者の方々の期待を超えていけるよう頑張らなくてはと、身の引き締まる思いです。『三角チョコパイ』は分かりやすいネーミングで、すでに広く親しまれている商品のため、CMでは認知獲得や商品訴求よりも楽しい雰囲気を描くことを大切にしています。軽快な楽曲に合わせて伊藤沙莉さんとKing Gnuの井口理さんが和気あいあいとダンスをするといったシンプルな展開で、こうした伝え方がお客さまのハートに一番届くと考えました。
—「本気カフェ宣言」を掲げて展開した『マックカフェ®』のCM展開について
 マクドナルドのいいところって老若男女を問わず、すべてのお客さまがどんなときに訪れても楽しめるといった“懐の深さ”だと思うんです。そこでマクドナルドらしい自由で気軽な雰囲気を最大限に感じていただけるよう、2023年より「本気カフェ宣言」と銘打ってカフェメニューの進化に取り組むとともに、広告活動でもアクセルを踏みました。CMには広瀬すずさんらを起用して、おいしさとともにお客さまの気分が上がるビジュアルに注力したフラッペやマカロン、カフェラテなどを訴求しました。これらの商品に対する期待感や高揚感を表現した一連のCMは大変ポジティブな評価をいただいており、マクドナルド全体のブランドイメージの向上にも寄与したと捉えております。
— 平成カルチャーや大人世代へのエールを表現したCMが注目を集めました
 これも弊社ならではですが、日本にお住まいであればどの世代でも大半の方々が何らかのマクドナルドの思い出や来店体験をお持ちですよね。平成のヒット曲やトレンドをモチーフとした『平成バーガー』や『リバイバルバーガー』のCMは、30代から50代前後の方々に当時の空気感と併せてマクドナルドでの体験をビビッドに思い出していただければと思って制作したものです。
 また大人世代を応援するメッセージを表現した『サムライマック®』、『ビッグマック®』のCMも好評をいただきました。近年のミドルエイジの皆さまはマインドが若く、新しいことに挑戦されている方が多いように感じます。迷いながらも前進する方々へ「行きたい道を切り拓け。」「ビッグマックなんて、ペロリだよ。」といった骨太なメッセージをお伝えすることで、マクドナルドとお客さまの心の距離がより一層近くなればと考えています。

お客さまのリアルなブランド体験をCMに
何げない日常を描くストーリーが共感を呼ぶ

— 家族の絆を描く企業CMなど、身近な人との交流やお客さまのブランド体験を温かく描くCMが好評です
 「家族といっしょに。」をコピーとした企業CMでは、染谷将太さん扮する父が息子と交わす“小さな約束”として『ハッピーセット®』を描いたほか、上京したばかりの女性がマクドナルドで“地元と同じ味”に出会い、家族と過ごした時間を思い出す作品も展開しました。こうしたお客さまが実際に体験したエピソードに基づくCMが多くの方々から共感していただけるのは、マクドナルドというブランドならではだと思います。また子どもたちがクルーの皆さんを「ハッピーセットやさん」と呼ぶCMも好評で、本作にはお客さまにもマクドナルドのインナーにも“スマイルをつくる仕事”の素晴らしさを感じてもらいたいという思いを込めています。
— さまざまなデジタルキャンペーンも展開されています
 近年は広告とのタッチポイントが多様化していますので、テレビCMだけでなくデジタルキャンペーンにも力を入れております。特に話題を集めたのは『夜マック®』のプロモーションの一環で制作した「特別じゃない、しあわせな時間。」をテーマとしたウェブ動画です。『赤とんぼ』をBGMに、両親と幼い女の子が夕食として『ポテナゲ』を楽しむ何げない日常をアニメーションで表現しました。昨年9月の公開以来、現在までに1億回以上再生されるなど、国内外で大きな反響を頂戴しています。
 夜マックの施策としては、お笑いコンビ・オードリーさんのラジオ番組とコラボして、CMやウェブ動画、店内放送などを展開したキャンペーンも注目を集めました。夜のマクドナルドでおふたりが台本なしで自由におしゃべりをする内容で、親しい人とたわいもない話をしながら食事をする楽しさをお伝えできたのではないでしょうか。効率化やコスパが重視される時代だからこそ、こうしたささやかな幸せを多くの方が求めている気がします。
 音楽関連ではポテトが揚がったときの“ティロリ”音をベースにYOASOBIさんとVaundyさんの楽曲をマッシュアップした『ティロリミックス2024』、「スマイル0円」や働き方の多様性をテーマに制作した“あのちゃん”の『スマイルあげない』などのMVが話題となりました。いずれもZ世代に人気のアーティストの楽曲をマクドナルドのブランド価値と掛け合わせたコンテンツで、エンターテインメント性の高いMVを起点にCMやOOH、イベントといった多面的な展開を通して、マクドナルドをより一層身近な存在に感じていただけるよう注力いたしました。

CMは一期一会
一つひとつのCMを一球入魂で作り上げる

— 今後のコミュニケーション活動について
 2023年度は114作品のCMをオンエアしたのですが、一つひとつのCMとそれをご覧になる方との出会いは一期一会だと思うんですね。ですのでどの作品も一球入魂といいますか、才能あふれるクリエイターの方々と議論を重ねながら魂を込めて制作しています。今後もこの姿勢に変わりはありませんが、今まで以上にお客さまの期待にお応えするべく、広告作りのHowの部分、表現面はより一層進化させていきたいと考えています。
 冒頭にも申し上げましたが、今回の受賞は全国の店舗で働く20万人のクルーの皆さんをはじめ、パートナーエージェンシーやクリエイティブチームの皆さん、マーケティング部門のメンバーなど、全員野球で1年間奮闘してきた成果だと思っております。来年度もコミュニケーション活動を通してお客さまにワクワクする気持ちをお届けするとともに、マクドナルドのブランド価値がより豊かなものとなるよう、さらなるチャレンジを続けてまいります。
写真:長谷川大
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。