JAC AWARD 2023 グランプリ受賞者のインタビュー 【ディレクター個人応募部門 小山 瑛司氏】
一般社団法人 日本アド・コンテンツ制作協会（JAC）が主催する『JAC AWARD』は映像文化の発展を目的に、映像クリエイターの発掘・人材の育成・映像技術の向上や若手のモチベーションアップを図り、制作サイドの見地から表彰を行う賞として2007年に設立された。2023年度はコロナ禍で開催が中止されていた最終審査会のリアルイベントを4年ぶりに実施した。
本記事ではディレクター個人応募部門でグランプリに輝いた小山瑛司氏（株式会社 東北新社）に受賞対象となった仕事の概要や広告制作に携わる上で大切にされている考え方、今後挑戦したいことなどについて語っていただいた。
本記事ではディレクター個人応募部門でグランプリに輝いた小山瑛司氏（株式会社 東北新社）に受賞対象となった仕事の概要や広告制作に携わる上で大切にされている考え方、今後挑戦したいことなどについて語っていただいた。
【 CM INDEX 2024年4月号に掲載された記事をご紹介します。】
語るトイレをCGならではの映像でユーモラスに表現
小山瑛司氏
株式会社 東北新社
クリエイティブセンター／OND°
企画演出部
2022年に東北新社に入社し、現在プランナーとして修行中。主にCMなど広告映像のプランニングを務める。2024年秋にプランナーとしてデビュー予定。
株式会社 東北新社
クリエイティブセンター／OND°
企画演出部
2022年に東北新社に入社し、現在プランナーとして修行中。主にCMなど広告映像のプランニングを務める。2024年秋にプランナーとしてデビュー予定。
「ここだけの話」
全篇3DCGで描かれた作品。トイレがフタを開閉させながら、毎日いろいろな人の尻を見ていると語る。「ここだけの話」と切り出し、「みんな、うんこの色は一緒なんですよ。」と明かす内容だ。
動画はこちら
全篇3DCGで描かれた作品。トイレがフタを開閉させながら、毎日いろいろな人の尻を見ていると語る。「ここだけの話」と切り出し、「みんな、うんこの色は一緒なんですよ。」と明かす内容だ。
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— 受賞の率直な感想をお聞かせください
将来的にディレクターとプランナーを兼任するべく修行中の身で、企画の仕事はいくつもしてきましたが、自分の作った映像を身内以外の方に評価いただくのは初めてでした。ディレクターになれるか不安もあったのですが、今回の受賞はひとつの自信になり、その大きな一歩を踏み出せたのかなと思っています。受賞の反響は大きく、同期が僕の受賞を喜んでプロデューサーをはじめ多くの方々に伝えてくれたことが特にうれしかったですね。
— 多様性をコミカルに表現されました
世の中に「多様性」という言葉が飛び交い、他者との違いを受け入れ、相手を尊重するという意味で使われていますが、当たり前のことを言語化し便利な言葉として濫用されていることに違和感があったので、違いに目を向けるのではなく同じ人間であることを企画の軸に据え、その言葉に振り回される人の肩の力が抜けるような映像を作ろうと考えました。企画を練る中で「肌の色は違うけど、うんこの色は一緒」というメッセージを思いついたんですね（笑）。トイレは誰もが使うし、うんこという共通点も面白い。世の中が多様性について考え過ぎる中、小学生でも分かるうんこというモチーフもギャップがある。そうした思いからトイレを主人公としたストーリーを設計しました。
トイレを実写で撮影しようとすると、個室で狭いためにアングルやライティングも制限されてしまうので、3DCGでの制作に初挑戦しました。CGソフトをダウンロードするところから始めて、YouTubeでチュートリアル動画を見ながら操作方法を覚えて（笑）。企画に思いのほか時間を費やしてしまったため、制作期間は1カ月ほどしか残されていなかったのですが、動きや場面転換など、少しずつスキルを身につけながら制作していきました。真横から見たトイレや迫ってくるお尻など、実写では撮影が難しいアングルの映像をCGの利点を生かして表現に取り入れています。
メッセージが説教じみて聞こえないよう、また愛らしいキャラクターに見せるためには声が重要で、お世話になっている先輩の声が合うと思い、協力をお願いして何度もテイクを取らせていただきました。先輩には本当に感謝しています。一から兄に作ってもらったラップ調の音楽も、トイレを格好よく引き立たせていると思っています。
トイレを実写で撮影しようとすると、個室で狭いためにアングルやライティングも制限されてしまうので、3DCGでの制作に初挑戦しました。CGソフトをダウンロードするところから始めて、YouTubeでチュートリアル動画を見ながら操作方法を覚えて（笑）。企画に思いのほか時間を費やしてしまったため、制作期間は1カ月ほどしか残されていなかったのですが、動きや場面転換など、少しずつスキルを身につけながら制作していきました。真横から見たトイレや迫ってくるお尻など、実写では撮影が難しいアングルの映像をCGの利点を生かして表現に取り入れています。
メッセージが説教じみて聞こえないよう、また愛らしいキャラクターに見せるためには声が重要で、お世話になっている先輩の声が合うと思い、協力をお願いして何度もテイクを取らせていただきました。先輩には本当に感謝しています。一から兄に作ってもらったラップ調の音楽も、トイレを格好よく引き立たせていると思っています。
企画からできるディレクターとして
日常を彩るようなCMを作りたい
— 今後チャレンジしてみたいことは
ディレクターとして仕事をするには、企画の立て方を知っていた方がより良い演出につながると思い、現在はプランナーとして日々の業務に向き合って、いつか企画から演出まで一貫できるディレクターになりたいと考えています。また子どもの頃からCMが好きで、家族や友人とよくCMの話をするんです。そうした会話の種になったり、誰かの背中を押したりするような、日常を少し彩れるようなCMを手掛けたいと考えています。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。