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JAC AWARD 2023 グランプリ受賞者のインタビュー 【プロダクションマネージャー部門 神谷 諒氏】


 一般社団法人 日本アド・コンテンツ制作協会(JAC)が主催する『JAC AWARD』は映像文化の発展を目的に、映像クリエイターの発掘・人材の育成・映像技術の向上や若手のモチベーションアップを図り、制作サイドの見地から表彰を行う賞として2007年に設立された。2023年度はコロナ禍で開催が中止されていた最終審査会のリアルイベントを4年ぶりに実施した。
 本記事ではプロダクションマネージャー部門でグランプリに輝いた神谷諒氏(株式会社スプーン)に受賞対象となった仕事の概要や広告制作に携わる上で大切にされている考え方、今後挑戦したいことなどについて語っていただいた。
【 CM INDEX 2024年4月号に掲載された記事をご紹介します。】

ディテールにこだわり、誰もが納得できる作品を目指す

神谷諒氏
株式会社 スプーン
プロダクションマネージャー
1995年生まれ、大阪府出身。2018年に上京しスプーンに入社。右も左も分からない映像の世界に飛び込む。CMを中心に色々なジャンルの映像に携わりながら、日々勉強中。
相鉄ホールディングス「相鉄・東急直通線開業記念ムービー 父と娘の風景」
PUNPEEの『タイムマシーンにのって』とハナレグミの『家族の風景』がコラボした楽曲をBGMに、オダギリジョー、山﨑天ら50人が演じる父娘の関係の変化を相鉄線車内でワンカットで撮影した。

— 受賞作品の制作エピソードと反響について
 相鉄線と東急線の相互直通運転の開始を記念したCMです。実際の電車では撮影が難しいためスタジオでの撮影となり、車内の様子や差し込む光、駅の風景を再現するため、何度も相鉄線に乗って写真を撮ったり日光の角度を記録したりしてリアリティーを追求しました。また父娘の12年の変化を描くため、映像の時系列に合わせて車両の掲示物の内容や位置を確認し、ポスプロやCGチームへ共有する資料を作成するなど、ディテールの精度を高めることに注力しました。
 撮影に使用したセットは輪切りになった25台の車両が連なったもので、カウントに合わせてそれらを動かすことで蛇行を表現しています。またワンカットでの撮影で、再チャレンジするにはセットやオダギリジョーさんのメイクを毎回リセットしなくてはならなかったため、事前に数日かけて車両を動かす練習を行い、流れの確認などを徹底して撮影が滞りなく進むよう努めました。
 本作は『カンヌライオンズ2023』の「Film Craft」部門でふたつの金賞と銅賞、「Digital Craft」部門で銅賞を受賞するなど、国内だけでなく海外からの反響も非常に多かったですね。またYouTubeのコメント欄に鉄道ファンの方から「制作陣に鉄オタがいる」という書き込みがあったのですが、そういう方はいませんので(笑)、そう思っていただけるほどの作品に携われたことがうれしかったです。もちろん僕だけでなく、制作チーム全体が熱量を持って取り組めたからこそ、世の中から高く評価いただけていると感じます。

PMがひたむきに取り組むことで
チーム全体の熱量につながる

 視聴者やクライアントを含めたすべての人が納得できる映像作りを目指しています。スタッフに対しても同様で、連絡周りの中心であるPMが懸命に取り組めばその思いにスタッフや現場も応えてくださるので、より良いもの作りができるように感じます。これは当社の社員に共通することかもしれませんが、スタッフの健康や食事にも気を配るといった細やかなホスピタリティーの意識が映像の仕上がりにも影響すると考えています。
 PMの仕事をしているとさまざまな業界のプロフェッショナルにお目にかかることが多く、自分の世界が広がりますね。本作では鉄道会社の方々にお世話になりましたし、過去には天ぷら職人の方にお会いする機会もありました。そうした方々のお話を監督や制作陣に伝えることがPMの役割ですので、日頃から刺激をいただいています。
— 仕事をする上で大切にしていること
 『JAC AWARD 2023』に出席した際、CMだけでなく幅広いお仕事を手掛けられている方が多い印象でしたので、僕も表現の幅を広げたいと感じました。ただ当面の目標としては見た人の心が少しでも動くような、何らかの感情が残る映像を作りたい。そのためには物事を追求する姿勢が大切ですので、まずは目の前の仕事にひたむきに取り組んでいこうと考えています。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。