BRAND OF THE YEAR 2024・プレゼンテーション キリンビール株式会社
キリンビールとして17年ぶりのスタンダードビールの新商品『晴れ風』は原田郁子が歌う『風になりたい』をBGMに、内村光良、天海祐希、今田美桜、目黒蓮が出演するCMを展開。商品名を伏せたティザーに始まり、商品名を明かすCMや4人が味の感想を語るCMがヒットし、好調な販売実績を記録した。同社の広告戦略について山口洋介氏にお話しいただいた。
(開催日:2024年12月17日)
(開催日:2024年12月17日)
【 CM INDEX 2025年1月号に掲載された記事をご紹介します。】
『BRAND OF THE YEAR 2024』についてはこちら
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キリンビール株式会社
マーケティング本部 マーケティング部 ビール類カテゴリー戦略担当 主幹
山口洋平氏
マーケティング本部 マーケティング部 ビール類カテゴリー戦略担当 主幹
山口洋平氏
縮小トレンドのビール市場 『晴れ風』が従来のイメージを塗り替える
私どもの『キリンラガービール』が誕生したのが1888年で、昭和を代表するビールとして多くのご支持をいただいてまいりました。1990年、平成の時代には『キリン一番搾り』が誕生いたしました。それから30数年が経ち、我々は令和という新しい時代の新定番を皆さまにお届けしなければいけないのではと考え、『晴れ風』のブランド開発に着手いたしました。昨今のビール市場は縮小トレンドにあり、各世代でビール離れが進んでいるといわれております。若い世代はそもそもアルコールを飲む機会が減り、40、50代の方々もビール以外のアルコールを好まれる方が増えています。そうした要因として、ビールの良さでもある「苦み・重さ」がバリアになっていること、そしてビールが“おじさんたちの飲み物”“時代遅れ”といったイメージになってしまっているという課題があり、新たなブランドを作る上では広告展開も含めビールの印象をガラっと変えなくてはいけないという思いで臨みました。そのためにキリンビールとして今という時代の価値観を捉えた新しい取り組みが何かできないか、その新しい価値が商品に共感いただく新しい特徴になればと考えました。
キリンビールは晴れ風を通して、実際に商品を手に取ってくださるお客さまだけではなく世の中にも“いい風”を吹かせたいという思いに至りました。味覚については麦芽100%ビールを採用し、飲みごたえと飲みやすさという相反するものを両立させる“ビールのきれいな味”を目指しました。商品のイメージに関しては、少しでも世の中に明るく前向きな世界観を広げることができ、それに共感いただけるものにしていきたいと考えました。
またSDGsは教育や企業の生産活動においても今や当たり前の視点となっていますが、ビールブランドが貢献すべきものは何かという観点で検討を進めました。悩みながらも、これまでビールがお世話になってきた花見や花火という失われつつある日本の風物詩の維持保全への貢献活動『晴れ風ACTION』にたどり着きました。キーワードは「ビールからの恩返し」で、商品を購入することで社会貢献ができるだけでなく、ウェブサイトから1日1回応援したい自治体に寄付ができるスキームを採用しました。
キリンビールは晴れ風を通して、実際に商品を手に取ってくださるお客さまだけではなく世の中にも“いい風”を吹かせたいという思いに至りました。味覚については麦芽100%ビールを採用し、飲みごたえと飲みやすさという相反するものを両立させる“ビールのきれいな味”を目指しました。商品のイメージに関しては、少しでも世の中に明るく前向きな世界観を広げることができ、それに共感いただけるものにしていきたいと考えました。
またSDGsは教育や企業の生産活動においても今や当たり前の視点となっていますが、ビールブランドが貢献すべきものは何かという観点で検討を進めました。悩みながらも、これまでビールがお世話になってきた花見や花火という失われつつある日本の風物詩の維持保全への貢献活動『晴れ風ACTION』にたどり着きました。キーワードは「ビールからの恩返し」で、商品を購入することで社会貢献ができるだけでなく、ウェブサイトから1日1回応援したい自治体に寄付ができるスキームを採用しました。
「これが、これからのキリンビール。」
企業としての宣言をパワーに変える
広告展開につきまして、最初は名前を明かさずに「キリンから新しいビールが出ます」というメッセージをシンプルにお伝えし、少しずつ種明かしをしながら商品の魅力に気付いていただけるようなコミュニケーションを展開しました。テレビCMだけでなく街中や移動中にも“晴れ風ブルー”が一面に広がるような景色を作ることで存在感を示せたらと考えたものです。「これが、これからのキリンビール。」というコピーを打ち出していますが、このコピーをクリエイターの方から提案いただいた日のことを今でも覚えているんです。冒頭でキリンラガー、一番搾りに次ぐ新ビールとお話しいたしましたが、「本当にそうだろうか?」という気持ちがどこかにはありました。ですがこのコピーを使うと決めたときに、僕らも腹が据わりました。キリンビールという企業としての宣言になっており、この言葉を使うたびに実感が湧いてくるといいますか。社内でもどんどん浸透していき、自分たちのパワーになったんですね。それが本日の「消費者を動かしたCM展開」の受賞という結果につながったのではないでしょうか。
晴れ風というブランドを通して 世の中にいい風を吹かせたい
商品を買っていただくことも非常にうれしいことではありますが、先ほど申し上げた通り晴れ風ACTIONを通して「ちょっといいことができてうれしい」「今日は地元を応援してみようかな」と思っていただく時間が生まれたり、私どもの活動をきっかけに初めて桜や花火の危機を知って関心を寄せてくださったり、そうした多くの反響をいただくことができました。単にビールを飲むだけではない、少しでも世の中にいいことが増えたとしたら、私どもとしては大きな成果です。そうした意味でも、このたびのCMは人の心を動かすことができたのではないかと思っています。最後に、商品開発から携わってくださった広告会社の皆さま、クリエイターの方々、制作スタッフの皆さまに感謝申し上げます。一丸となって晴れ風というブランドを作ってこられたことを光栄に思っております。
CMデータ(商品別) 2023年11月度〜2024年10月度・集計
CM展開月数:11カ月/オンエア作品数:16作品/放送回数:3885回/CM好感度:327.3P‰
関連データ
最新のCM好感度データをもとに、CMの動向やヒットの要因を分析してお伝えします。
現状把握や今後のCM制作に役立つヒントを提供し、貴社の広告展開をサポートいたします。
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