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広告主インタビュー 株式会社オリエンタルランド【2022年度 CM好感度 躍進企業No1】


CMで世の中をポジティブな空気に

放送回数を例年並みに戻し、CM好感度 躍進企業のトップに立ったオリエンタルランド。「ずっと、待ってた!」という、ファンの心を代弁するようなコピーが目を引いた。同社のCMへの取り組みについて、久保哲也氏と松本龍二氏にお聞きした。
(取材:2023年5月16日)
【 CM INDEX 2023年6月号に掲載された記事をご紹介します。】

インタビュイー
久保哲也氏(左)
株式会社オリエンタルランド マーケティング本部
マーケティング・コミュニケーション部長
東京都出身。1996年オリエンタルランドに入社。広報、セールス、パーク運営部門を経て、2023年4月より現職。

松本龍二氏(右)
同社 マーケティング本部 マーケティング・コミュニケーション部
コミュニケーショングループ マネージャー
大阪府出身。専門商社勤務を経て、2007年オリエンタルランドに入社。マーケティング、人事部門などを経て、2022年4月より現職。
代表的なCM
「ずっと、待ってた!」篇(2023年2月25日オンエア開始)
『東京ディズニーリゾート』の開園40周年を記念するイベント『ドリームゴーラウンド』の開催を伝えるCM。「ずっと、待ってた!」という共感性の高いコピーとともに、華やかに飾られたパークでゲストを歓迎するミッキーマウスたちや、キャラクターに駆け寄る子どもたちを描いた。

コロナ禍の中、ハードルを乗り越えてきたクリエイティブづくり

— コロナ禍を経てCM好感度調査で大躍進。ご苦労もあったと思いますが、松本さま、いかがでしょうか
 このような過分な評価をいただき、ありがとうございます。クリエイティブの表現方法はもちろんですが、制作過程でもさまざまな制限や葛藤がある中で、広告代理店、制作会社の方、監督、さまざまな方と折衝を重ねながら進めてきました。例えば開園40周年の「ずっと、待ってた!」のCMはキャラクターやキャストが大勢登場していますが、撮影のタイミングではまだソーシャルディスタンスの考えがありましたので、撮影時における安全上の配慮を行いながら、合成の場面を多用するなど、演出として違和感がないようにするのに苦労いたしました。このように一つひとつハードルを越えてきた結果がCM好感度の躍進ということで評価されたのはうれしいです。また、この評価は一般の方の声によるものですので、クリエイティブがきちんと一般の方に届いたということでもあり、特にうれしさが増します。
— 「ずっと、待ってた!」のコピーに込められた思いとは
 コロナ禍により、2020年2月末にパークとしては開業以来初の長期臨時休園となり、その後開園の延期が続き結局7月に再オープンしました。そのときもかなり入場人数を制限しましたので、多くのゲストの皆さまに当パークを楽しんでいただけないような状況でした。  
 制限が段階的に解除されていくに伴い、CMは2022年の5月からようやく少しずつ再開してまいりましたが、40周年のタイミングでは「ずっと、待ってた!」というコピーのもと、全国規模で大々的に展開した次第です。このコピーは主語がいろいろ想定できます。「ずっと、待ってた!」のはゲストの皆さまはもちろんですが、キャラクター、キャスト、パークもみんな待っていたという気持ちも込められています。何を待っていたのかもぼかしてあり、40周年かもしれないし、大手を振って旅行できることかもしれないし、久しぶりにキャラクターに会えることかもしれない。そういう多様な意味が込められているので、テレビCMでは「ずっと、待ってた!」は文字でしか入れず、ナレーションは外しています。ナレーションにこのコピーを入れると主語がこちらだけになってしまいますから。

一番身近なゲストはキャストや従業員たち
みんながどう思うかという視点を意識

— 貴社のクリエイティブづくりの基本的な考え方は
 一番身近なゲストはキャスト(従業員すべて)です。ですからクリエイティブでも企画を検討するときには、一般のお客さまだけでなく、働いているみんながどう思うかという点も意識しています。世の中で話題になり、自分たちの会社や事業の話がポジティブに捉えられれば、それがやりがいになる。お客さまにサービスを直接提供しているのはキャストですから、みんながここで働いていて良かったと思ってもらえるようなことが大切だと思っています。
 また、40周年、ハロウィーンやクリスマスなどパーク内のコンテンツと連動したクリエイティブは非常に大切ですが、一方で変わらないパーク本来の楽しみ方や価値を合わせてお伝えしていきたいという思いもあります。期間限定のものとパークが本来持つ本質的価値の両軸をしっかりと打ち出していかなければならないと思っています。  
— テレビCMを活用する意義について、どのようにお考えでしょうか
 リーチ効率が最もいい、というのは大前提としてありますが、それよりもテレビCMを含めたコミュニケーション活動がマーケティング効果以外のところで世の中に与える影響がすごくあると今回感じました。
 当社の事業特性といった部分もあるかと思いますが、東京ディズニーリゾートのCMが世の中に流れることで、「コロナ禍から日常が戻った」と皆さまが感じられるようになる。つまり、広告が流れること自体が非常にポジティブな変化を与えられるということです。テレビCMを再開した際に、社内外の多くの方からお声がけいただきましたし、私自身も一消費者として感じた部分でもあります。ですから、コミュニケーション活動によって、直接的な集客とは別に、世の中にポジティブな空気を作り出すようなところで貢献できる気がしています。
— 久保さまにおうかがいします。貴社の2030年に目指す姿として「あなたと社会に、もっとハピネスを。」とありますが、7年後に目指すものは何でしょうか
 「あなた」は従業員向けのメッセージでもありますので、 当社の事業を中心に、従業員もそして世の中も幸せになる状態を作っていきたいというのが目標になっています。来たいときに来ることができ、これまで以上の満足度を得られるというパーク事業そのものが目指す在り方は、皆さまに幸せな気持ちになっていただくということですし、それが従業員にとっての誇りにもなっていると思います。コミュニケーション活動を通しても、そういった未来につながるよう貢献していきたいですね。

コミュニケーション活動を通して
ゲストの皆さまに幸せな気持ちになっていただく

— 貴社事業における「ハピネス」の定義についてお聞かせください
 コミュニケーション活動を通じてゲストの皆さまにどのような気持ちになっていただきたいのだろうと考えてみると、 感動や興奮、満足などいろいろな言葉が浮かんでくるのですが、それらをひと言で表すと「ハピネス」になります。我々は日頃から本当にいろんなシーンで当たり前のように使うのですが、ゲストの皆さまのさまざまな感情に当てはまる言葉だと思っています。我々の活動を通して、一人ひとりのゲストの皆さまに、幸せを感じられるいろいろな感情に気付いていただくことが大事だと考えております。
 40周年に引き続き、来春は東京ディズニーシーに新エリア『ファンタジースプリングス』のオープンを予定しています。これから先も、皆さまにハピネスを届けられるように、コミュニケーション活動でその魅力をお伝えできるよう努めてまいります。
文:坂本俊夫 写真:髙野宏治
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。