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JAC AWARD 2022 グランプリ受賞者のインタビュー 【プロダクションサポート部門 勝沼玲子氏】


 一般社団法人 日本アド・コンテンツ制作協会(JAC)が主催する『JAC AWARD』は映像文化の発展を目的に、映像クリエイターの発掘・人材の育成・映像技術の向上や若手のモチベーションアップを図り、制作サイドの見地から表彰を行う賞として2007年に設立された。2022年度より制作実費の上限を設けた「ディレクター個人応募部門」が新設され、映像コンテンツ制作を支えるすべての人を対象としたアワードへと進化を遂げている。
 本記事では各部門のグランプリ受賞者から勝沼玲子氏(太陽企画 株式会社)に受賞対象となった仕事の概要や広告制作に携わる上で大切にされている考え方、挑戦したいことなどについて語っていただいた。
【 CM INDEX 2023年4月号に掲載された記事をご紹介します。】

主婦たちと築き上げた信頼関係を制作現場へ還元

勝沼玲子氏
太陽企画 株式会社
女子♡プロ
グループリーダー/プランナー
1992年に太陽企画入社。以来、“女子モノ”“主婦モノ”の企画を担当。2013年より“女性モノ”に特化した部署『女子♡プロ』を設立。主婦周りの市場調査やキャスティングなども手がける。

— 女子♡プロについてお聞かせください
 私自身がプランナーとして主婦をターゲットとした企画を立てる中で、主婦と直接つながれば、より深みのある企画になると考え、自分たちの周りの主婦の声を集めはじめたのが『女子♡プロ』のきっかけです。実際に話をするといくつもの発見があり、それが企画に生かせたんですね。その後ホームページやInstagramのアカウントを開設し、活動開始から約10年で会員数は約1万人に達しました。会員の方にはアンケートやCM出演など、CM制作のさまざまなプロセスに参加いただいています。私たちのネットワークを知った制作部に相談を受けたことから徐々に制作部からの依頼が増えていき、今では何かあると「女子♡プロに聞いてみ」と言われるまでになりました。
 会員の中にはご自身で3万人のフォロワーを抱えていらっしゃる方もいて、そうした方に協力いただくにはフィーを支払うのが普通ですが、彼女たちが世間の注目を集める前からのお付き合いがあるため、今でも無償でお力を借りることができるんですね。金銭のやり取りをせず、この10年間に育ててきた信頼があってこその財産で、これはすぐにまねできるものではないと考えています。
— 仕事を進める上で大切にされていることとは
 一般の方にご協力いただくため、機密情報の保持には細心の注意を払っています。例えばCMに出演いただく方はSNSではなくリアルでつながっていて、信頼できる方に限っています。出演承諾書や機密情報の保持に関して、どう伝えたら理解いただけるか、お相手の視点に立って伝え方を工夫し、おひとりずつ配慮を重ねたお付き合いをすることで情報漏洩を抑止しています。

相手のことを深く理解しWin−Win−Winを作っていく

 出演者、制作部、私たちがWin−Win−Winになることも大切にしています。以前、遠方でのロケでおばあちゃんフラダンスチーム、幼稚園児のバレリーナチームに出演いただいたことがありました。「チーム」としてお願いできたので、当日までに全員の動きを合わせてきていただくことができ、また遠路の移動では交通機関が遅れたことでクタクタになっていたにもかかわらず、カメラの前に立つと楽しんでしっかりと演技を披露してくれました。良い思い出が作れた出演者、難しいキャスティングを実現できた制作部、マッチングできた私たちそれぞれが満足できる。こうしたWin−Win−Winをいくつも作ってきました。
 好きなことや特技など「あなたに出演してほしい理由」が重要で、会員のSNSを小まめにチェックし、出演依頼の際はなぜその方にお願いしたいか熱意を込めて伝え、相手が及び腰であれば潔く諦める。女子♡プロが事業ではなく、メンバーそれぞれが本業のある中で楽しみながら進めてきたプラスアルファの取り組みだからこその距離感、信頼関係だと思います。これからも人と人とのつながりを大切にし、コロナ禍で中断していたグループインタビューをリモートで再開させるなど、新しいことに取り組んでいきたいです。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。