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JAC AWARD 2022 グランプリ受賞者のインタビュー 【ベストプラクティス部門 森重智子氏】


 一般社団法人 日本アド・コンテンツ制作協会(JAC)が主催する『JAC AWARD』は映像文化の発展を目的に、映像クリエイターの発掘・人材の育成・映像技術の向上や若手のモチベーションアップを図り、制作サイドの見地から表彰を行う賞として2007年に設立された。2022年度より制作実費の上限を設けた「ディレクター個人応募部門」が新設され、映像コンテンツ制作を支えるすべての人を対象としたアワードへと進化を遂げている。
 本記事では各部門のグランプリ受賞者から森重智子氏(TOKYO/太陽企画 株式会社)に受賞対象となった仕事の概要や広告制作に携わる上で大切にされている考え方、挑戦したいことなどについて語っていただいた。
【 CM INDEX 2023年4月号に掲載された記事をご紹介します。】

関わる人の立場で考え、プラスになる場を整える

森重智子氏
TOKYO/太陽企画 株式会社
プロデューサー
学生時代に報道番組ADを経験後、2012年に太陽企画入社。CMだけでなくMV、8K、スチール、ファッション、展示映像など幅広いジャンルの作品に積極的に挑戦し続けている。
春夏秋冬/フォーシーズンズ 乃木坂46「夏秋草図屏風」
2021年秋に東京国立博物館の表慶館で開催。春夏秋冬の花を表現した7点の日本の古典美術と、乃木坂46のメンバーを花に見立てた大型映像インスタレーションが制作・展示された。

— 日本の古典美術と乃木坂46を融合させた企画展のインスタレーション映像について
 東京国立博物館の『春夏秋冬/フォーシーズンズ 乃木坂46』という企画展でインスタレーション映像を担当した『夏秋草図屏風』は、屏風としては珍しく夏と秋それぞれ一瞬の情景を切り取ったもので、裏側には尾形光琳の『風神雷神図』が描かれています。夏と秋の対比、表裏で1枚というコンセプトから、監督と話し合う中で、対面する形に置いたハイスピードカメラで久保史緒里さんと山下美月さんを撮影し、表と裏の映像を連続で切り替えることで一瞬を映した表裏一体の構成にしました。コンセプトはシンプルで分かりやすいものの、CGでシミュレーションをすると映り込んだカメラを消す作業や合成といった編集にかなりの時間がかかると分かりました。そこで編集作業に注力することを第一にスケジューリングや予算組みを決め、撮影はミニマムに行いました。実現できたのは前例のない手法でも「とりあえず挑戦してみたら?」と言ってもらえる社風、社内の映像編集室で仮編集・本編集・カラコレすべてを社員で行えたことが大きかったですね。

広告主、視聴者、制作スタッフ
すべての人にプラスとなる仕事を

 仕事で大切にしているのは、広告主の方やスタッフ含め全員にプラスになっているかということです。制作部に対しては案件を受ける際のひとつの判断軸として、今回ならアーティストのファンであるとか、携わった作品が博物館に展示されるなど、クレジットに載ることが少ない仕事だからこそモチベーションになるポイントを探します。また「広告主の気持ちに寄り添えているか」「視聴者に届くものになっているか」と常に考えることも大事にしています。以前、イギリスを代表するファッションブランドの仕事をした際に、当時チーフ・クリエイティブ・オフィサーだったリカルド・ティッシ氏からコメントをいただき「思ったより世界は近いんだ」と感じました。いちアジアで展開する作品まで目を通すのかと身が引き締まりましたし、気を抜くわけにはいかないと再認識しました。この仕事の良いところは広告主や視聴者などさまざまな立場の人の気持ちになれることだと思うので、その視点を常に持てるようまず私たちが精神的に健康でいられる場を整えておきたいんです。
— 受賞の反響と今後取り組んでみたいこと
 自分が当たり前だと思ってきた仕事への考えを評価してくださる方がいることに驚きましたし、共感したというお声をいただけたのもうれしかったです。以前お世話になった海外ロケのコーディネーターや、最近お会いしていなかった広告会社の方からもお祝いの言葉をいただきました。
 今後も映像だけでなく、グラフィック、演劇、ライブなど媒体にとらわれないビジュアルプロモーションをプロデュースしていきたいです。広告はその会社のことを好きになったり、ワクワクした気持ちになったりすることが一番大事だと思うので、それをかなえるような作品を作りたいですね。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。