BRAND OF THE YEAR 2022・インタビュー アサヒビール株式会社
アサヒビール株式会社は、竹内まりやの『元気を出して』をBGMに新垣結衣が「おつかれ生です。」と優しく語りかける『アサヒ生ビール』が2022年度のCM好感度総合4位、初のフルリニューアルを行った『スーパードライ』が10位に入るなど好調だった。同社の広告戦略について理事 マーケティング本部 宣伝部 部長の望月省二氏にお話いただいた。
(収録:2022年12月13日)
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【 CM INDEX 2023年1月号に掲載された記事をご紹介します。】
『BRAND OF THE YEAR 2022』についてはこちら
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望月省二氏
理事
マーケティング本部 宣伝部 部長
理事
マーケティング本部 宣伝部 部長
お客さまを真ん中に置いて考える「思わず心が動くブランドづくり」
国内のビール類市場は長期的な縮小傾向にあるものの、日本の主要ビール類のおいしさは年々評価が高まっています。つまり飲酒人口の減少を考慮してもおいしさだけではお客さまの心が動いていないことは明らかで、商品が選ばれるためには「思わず心が動くようなブランドづくり」をいかに行うかが大切なポイントとなります。
当社ではマーケティングを「顧客を創造し続けること」と捉え、「お客さまの数」と「お客さまの心の中でのブランド価値」というKPIを重要視しながら、ブランドづくりで主に3つのことを心掛けています。ひとつ目はお客さまを中心とした“360度統合型マーケティング”で、「すべての悩みはお客さまを真ん中に置くことで解決する」という合言葉のもと商品・パッケージをはじめ広告や店頭での展開といったすべてのマーケティング活動、施策に取り組んでいます。ふたつ目はお客さま自身も気付いていないような、購買意欲のスイッチに直結する“心のホットボタン”をブランドが捉えるインサイトとして設定することです。3つ目はどのような“情緒ニーズ”をターゲットにするかを明確化するという点です。調査会社のお力をお借りして調べたところ日本のビール類市場の情緒ニーズは「エッジの効いた刺激」「開放的な楽しさ」など6つに分類されます。現代は一人ひとりの方がそのときの気分に応じてお酒を選んでいます。ですから“誰”をターゲットにするかではなく、どのような“ニーズ”をターゲットにするかという視点を取り入れてブランドを開発しています。
当社ではマーケティングを「顧客を創造し続けること」と捉え、「お客さまの数」と「お客さまの心の中でのブランド価値」というKPIを重要視しながら、ブランドづくりで主に3つのことを心掛けています。ひとつ目はお客さまを中心とした“360度統合型マーケティング”で、「すべての悩みはお客さまを真ん中に置くことで解決する」という合言葉のもと商品・パッケージをはじめ広告や店頭での展開といったすべてのマーケティング活動、施策に取り組んでいます。ふたつ目はお客さま自身も気付いていないような、購買意欲のスイッチに直結する“心のホットボタン”をブランドが捉えるインサイトとして設定することです。3つ目はどのような“情緒ニーズ”をターゲットにするかを明確化するという点です。調査会社のお力をお借りして調べたところ日本のビール類市場の情緒ニーズは「エッジの効いた刺激」「開放的な楽しさ」など6つに分類されます。現代は一人ひとりの方がそのときの気分に応じてお酒を選んでいます。ですから“誰”をターゲットにするかではなく、どのような“ニーズ”をターゲットにするかという視点を取り入れてブランドを開発しています。
失敗できないブランドのフルリニューアル
インサイトをブラッシュアップ
日本最大の消費財ブランドである『スーパードライ』は圧倒的なブランド力とユーザー数を有する当社の聖域です。万が一にも失敗できないブランドですが、2022年3月に発売36年目にして初のフルリニューアルを行いました。それは中長期的な顧客ベースの減少をはじめ、特長である「辛口」という独自価値が伝わっていないこと、多くの商品の中で「味」が同質化し優位性が揺らいでいること、さらにブランドイメージの老朽化といった従来のアプローチへの限界を感じていたためです。酒税改定によるビールカテゴリーへの追い風も後押しとなり、最終的には代表取締役社長の塩澤賢一が「腹を括ってやる。アサヒビールを変える」と決断しました。
フルリニューアルに向けて、まず「ビールは、『うまい!』と感じる瞬間、人生のすべてを肯定してくれる唯一無二の飲み物である」と設定していた従来のインサイトを、多様な価値観が共存するポストコロナに合わせ「Step-Up」よりも「Step-Forward」すること、「自分らしさを実感する、いまこの瞬間を大切にしたい」というインサイトにアップデートしました。CMの出演者には、第一線を引退されながらも「今が一番野球が好き」「いくつになっても大好きな野球を追い続けたい」と挑戦を続けていらっしゃるイチローさんをはじめ、「社会的成功のために挑戦する人」というよりも「自分のやりたいことに向かってワクワクしながら突き進もうとする人」を起用しています。またブランドの定義書をベースにCCI(Core Creative Idea)と呼ぶコミュニケーションコンセプトを設定し、「気持ち高まる瞬間がここにある」というCCIを中心にすべてのタッチポイントで統一感のあるブランドコミュニケーションを実施しました。テレビCM、新聞、OOHのほか、人気YouTuber50組とのタイアップやムック本『スーパードライ OFFICIAL BOOK』の制作、「空を見上げると、人は、上向きな気持ちになる」というキャッチコピーで展開した飛行船プロジェクトなど、質に加えてスーパードライ史上最大規模のメディア出稿を行いました。飛行船プロジェクトは日本中の多くの方にご覧いただき、SNS上では「テンションが上がる」「ワクワクする」といった多くの好意的な感想をいただきました。
フルリニューアルに向けて、まず「ビールは、『うまい!』と感じる瞬間、人生のすべてを肯定してくれる唯一無二の飲み物である」と設定していた従来のインサイトを、多様な価値観が共存するポストコロナに合わせ「Step-Up」よりも「Step-Forward」すること、「自分らしさを実感する、いまこの瞬間を大切にしたい」というインサイトにアップデートしました。CMの出演者には、第一線を引退されながらも「今が一番野球が好き」「いくつになっても大好きな野球を追い続けたい」と挑戦を続けていらっしゃるイチローさんをはじめ、「社会的成功のために挑戦する人」というよりも「自分のやりたいことに向かってワクワクしながら突き進もうとする人」を起用しています。またブランドの定義書をベースにCCI(Core Creative Idea)と呼ぶコミュニケーションコンセプトを設定し、「気持ち高まる瞬間がここにある」というCCIを中心にすべてのタッチポイントで統一感のあるブランドコミュニケーションを実施しました。テレビCM、新聞、OOHのほか、人気YouTuber50組とのタイアップやムック本『スーパードライ OFFICIAL BOOK』の制作、「空を見上げると、人は、上向きな気持ちになる」というキャッチコピーで展開した飛行船プロジェクトなど、質に加えてスーパードライ史上最大規模のメディア出稿を行いました。飛行船プロジェクトは日本中の多くの方にご覧いただき、SNS上では「テンションが上がる」「ワクワクする」といった多くの好意的な感想をいただきました。
CCIを軸にした一貫性のあるコミュニケーションで“心を動かす”
1986年発売の『アサヒ生ビール』は、翌年に発売されたスーパードライとの製造キャパシティーの関係などで1993年に缶商品の製造を終了し、その後は一部飲食店さまのみで飲める「幻のアサヒ」として愛され続けてきたビールです。缶商品として復活するに当たっては、コロナ禍で“不要不急”という言葉とともに本当に大切なことが切り捨てられているのではないかという思いから「心のゆとり、人のぬくもりや優しさを大切にしたい」といったインサイトにブラッシュアップし、情緒ニーズによるポジショニングでは「エッジの効いた刺激」であるスーパードライと対極の「まったり・癒やし」という世界観を目指しました。そこで「Heart Warming Beer」というCCIを設定し、CMでは新垣結衣さんのキャスティング、竹内まりやさんの『元気を出して』の選曲に至りました。このようにCCIを軸にブランドパーパスや情緒ベネフィット、機能ベネフィットが一気通貫してまとまりのあるストーリーを持つことで、お客さまの心を動かすコミュニケーションを実現できたと感じています。これからも当社はお客さまの“心を動かす”広告づくりを目指してまいります。
CMデータ(企業別) 2021年11月度〜2022年10月度・集計
CM展開月数:12カ月/オンエア作品数:67作品/放送回数:14046回/CM好感度:1059.3P‰
関連データ
2022年度のテレビCMについてまとめたレポートをご用意しております。