Leader's Interview ポール・クラフト氏(HARIBO GmbH & Co. KG)
子ども心と日本独自の文化をフックに
さらなるシェア拡大を目指す
ドイツに本社を置く世界最大のグミメーカー・HARIBOは2020年に誕生100周年を迎えた『ゴールドベア』のCMを2021年に日本で初めてオンエアした。ドイツをはじめ14カ国で展開されているCM「キッズボイス」シリーズの一環で、力士をモチーフにした本作は2021年度の「消費者を動かしたCM展開 特別賞」を受賞。広告の狙いや反響について日本支社 カントリーマネージャー・支社長のポール・クラフト氏にうかがった。
(収録:2022年1月18日)
(収録:2022年1月18日)
【 CM INDEX 2022年2月号に掲載された記事をご紹介します。】
インタビュイー
ポール・クラフト氏
HARIBO GmbH & Co. KG
ハリボー日本支社 カントリーマネージャー・支社長
HARIBO GmbH & Co. KG
ハリボー日本支社 カントリーマネージャー・支社長
2008年よりスターバックスCPGインターナショナル合同会社にて、日本のパッケージコーヒー市場への参入やチャネル拡大に成功。2012年からは米国最大級のハムブランド『HoneyBaked Ham』の日本でのローンチを手掛ける。2016年よりネスレネスプレッソ株式会社にてアウトオブホーム事業部の責任者を経て、2018年より現職
ハリボーゴールドベア
「キッズボイス 相撲」篇(2021年2月18日オンエア開始)
4人の力士に子どもの声をアテレコし、「ハリボーってプニプニ」「いろんな味を混ぜたらいいんだよ」などと言いながら商品を食べたり、商品を紙相撲に見立てて遊んだりする様子を描いた。ギャップのあるユーモラスな表現が話題となり、出稿が本格化した2021年3月度は商品別CM好感度で総合7位となった。
4人の力士に子どもの声をアテレコし、「ハリボーってプニプニ」「いろんな味を混ぜたらいいんだよ」などと言いながら商品を食べたり、商品を紙相撲に見立てて遊んだりする様子を描いた。ギャップのあるユーモラスな表現が話題となり、出稿が本格化した2021年3月度は商品別CM好感度で総合7位となった。
世界共通のフレーム内でその国らしさを
ブランド・プロミスを魅力的に表現
— 力士をモチーフとした「キッズボイスキャンペーン」のCMをはじめ2021年度の広告戦略について
HARIBOは2020年に創業100周年を迎えたドイツの菓子メーカーで、『ゴールドベア』をはじめさまざまなグミが140カ国以上で販売されています。ヨーロッパはもちろん、韓国でもグミ市場でシェアはナンバーワンであり、3歳から99歳までどんな人にも愛されるブランドであることを目指しています。
大人に子どもの声をアフレコする「キッズボイスキャンペーン」のCMシリーズは数年前からドイツをはじめ、アメリカ、スペイン、オーストリア、韓国など現在14カ国で展開されており、各国でご好評をいただいています。ドイツでは牧場の農夫、イギリスはロックンローラーや電車、アメリカは役員会をモチーフにするなど、これまでに32作品を展開いたしました。ブランド・プロミスである「CHILD HAPPINESS」、つまり「子どものような幸せを老いも若きも」をキーワードに、その国らしさをCMに生かすことを大切にしています。
同じ内容のCMを使用してセリフだけを各国の言語に差し替えて展開する方法もありますが、どんなに面白いCMでもその国に根差したシーンでなければ人の心を動かし、「食べてみたい」「買ってみたい」と感じてもらうのは難しい。日本で初めてCMを放送するに当たっても、日本らしいテーマや場面であることを重視しました。モチーフは力士以外にも候補を用意していましたが、グループインタビューを行ったところ満場一致で力士に決まったんです。力士は日本らしさだけでなく、大きな体格や髪型など見た目にもインパクトがあり、視聴者がCMを記憶しやすかったのではないでしょうか。また子どもの声やリアクションというのは、とてもチャーミングで人の心を引きつける力がありますよね。かわいらしい掛け合いに思わず振り返った人々が映像を見ると、そこには大柄な力士が映っているというギャップが驚きとなり、多くの方の心に残ったのだと思います。
大人に子どもの声をアフレコする「キッズボイスキャンペーン」のCMシリーズは数年前からドイツをはじめ、アメリカ、スペイン、オーストリア、韓国など現在14カ国で展開されており、各国でご好評をいただいています。ドイツでは牧場の農夫、イギリスはロックンローラーや電車、アメリカは役員会をモチーフにするなど、これまでに32作品を展開いたしました。ブランド・プロミスである「CHILD HAPPINESS」、つまり「子どものような幸せを老いも若きも」をキーワードに、その国らしさをCMに生かすことを大切にしています。
同じ内容のCMを使用してセリフだけを各国の言語に差し替えて展開する方法もありますが、どんなに面白いCMでもその国に根差したシーンでなければ人の心を動かし、「食べてみたい」「買ってみたい」と感じてもらうのは難しい。日本で初めてCMを放送するに当たっても、日本らしいテーマや場面であることを重視しました。モチーフは力士以外にも候補を用意していましたが、グループインタビューを行ったところ満場一致で力士に決まったんです。力士は日本らしさだけでなく、大きな体格や髪型など見た目にもインパクトがあり、視聴者がCMを記憶しやすかったのではないでしょうか。また子どもの声やリアクションというのは、とてもチャーミングで人の心を引きつける力がありますよね。かわいらしい掛け合いに思わず振り返った人々が映像を見ると、そこには大柄な力士が映っているというギャップが驚きとなり、多くの方の心に残ったのだと思います。
— CMの反響についてお聞かせください
『ゴールドベア』のCMの日本での反響は、さまざまな企業でマーケティングの仕事に携わってきた私のキャリアにおいても最も大きなものでした。取扱店舗も拡大し、HARIBOブランドの全国累計販売金額は前年比120.5%(インテージ SRI+ グミ市場 2021年2〜5月)を記録しました。CM好感度調査でも好評価をいただき「消費者を動かしたCM展開 特別賞」に選ばれたことは、本社のスタッフをはじめビジネスパートナーの皆さまからも大変喜ばれました。なかでもうれしかったのがSNSに投稿される写真や動画です。テレビCMの出稿に合わせて、SNSチャンネルでもキャンペーンを実施しました。InstagramでARフィルターを使ったコンテンツを展開し、Twitterでは商品の限定グッズが当たるインスタントウィンキャンペーンが即時に拡散されました。そのほか、大型スーパーのコストコでは箱単位で商品を購入できるのですが、その鮮やかなブルーの空き箱の中でネコが遊んだりくつろいだりする様子を映したものなどが多数アップされています。多くの人がそれぞれの楽しみ方でHARIBOのブランドと関わってくださっていることを大変光栄に思っています。
日本人の感性に合わせた新商品を展開しブランドへの関心を高める
— 貴社にとってのCMの役割、今後の展開について
当然ではありますが、テレビCMの役割は購買意欲を刺激することです。テレビというメディアのメジャー感とインパクトはブランドの認知を広げ、多くの人に手に取ってもらえる商品を育てるための有効な手段だと考えています。日本では店頭の棚を確保する上で新商品であることが重視されており、売り上げが好調な商品であっても頻繁にパッケージや味のリニューアルが行われるなど、世界的に見ても特殊な市場だと感じています。グミひとつをとっても非常に多くの商品が存在し、パッケージ形態もバラエティーに富んでいます。数多くの商品があっても店舗に置いてもらえる数は限られていますし、特にコンビニエンスストアは棚に置かれる商品が毎週変わる。変化がめまぐるしく、CMの放送と店舗の配荷のタイミングが売り上げを大きく左右します。そうした日本の市場に対応し、今年は日本人の感性や季節感に合わせた商品を発売いたします。2月から4月にかけてCMを放送し、エリアも札幌、広島を追加します。合わせてスーパーマーケットやドラッグストアなどでの配荷を強化し、さらなるシェア拡大を目指します。3月に発売する桜の花の形をしたフルーツグミ『ゴールドベア ハッピースプリング』※1や、日本の消費者の皆さまに人気のある“吊り下げ型”の商品など、日本の文化に合わせた商品を展開していきますので、ぜひ多くの方に楽しんでいただければと思います。
※1 ゴールドベア ハッピースプリング
日本市場のみで展開する4商品を2月から5月に販売する。3月には桜の花をかたどったフルーツグミをアソートした144gの大袋商品『ゴールドベア ハッピースプリング』を発売予定。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。