グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



TOP >  CM INDEX WEB >  Creator Interview 北田有一氏(株式会社 電通)後編

Creator Interview 北田有一氏(株式会社 電通)後編


ブランドが長く愛されるための広告を

“キウイブラザーズ”が歌い踊るゼスプリ インターナショナル ジャパン『ゼスプリ キウイフルーツ』、木村拓哉と芦田愛菜が共演するリクルート『タウンワーク』、中条あやみらを起用した『GU』など数多くのヒットCMを手掛ける北田有一氏。長く愛されるCMを作るために大切にしていることや、今後の広告作りなどについてお話をうかがった。
(収録:2021年7月19日)
【 CM INDEX 2021年9月号に掲載された記事を2回に分けてご紹介します。(後編)】
— 木村拓哉さん、芦田愛菜さんを起用したタウンワークも5月度にCM好感度1位となりました
 若い世代にとって、アルバイトってどこか特別なものですよね。学校生活や友人関係とは違ったある種の社会であり生活を支える手段でもある。プランナーの村田俊平やADの碓井達朗と意見を出しながら、そういう特別な意味を持つアルバイト関連のサービスの中で、『タウンワーク』を若者が一番好きなブランドにしようという話から企画を考えはじめました。彼らと話し合ううちにアルバイトは若者だけで完結するものではなく、求人を出す側と応募者側との橋渡しをするタウンワークは若者にも大人にも愛されることが大切だと気付いたんですね。そこから大人代表の木村拓哉さんが若者代表の芦田愛菜さんに「タウンワークって何?」と尋ねるというフレームが生まれました。
 木村さんの起用についてはタウンワークのことを知らなくても恥ずかしくない人って誰だろうと思ったときに、圧倒的なスターであれば不自然ではないと考え、迷うことなく出演をお願いした次第です。撮影中は優等生的なイメージの芦田さんがリアルな高校生らしさを発揮してくださり、掛け合いがさらに面白くなったと感じています。おふたりのセリフの応酬に加え、フィクションでありながら実際の撮影現場をのぞき見たような仕上がりも好評をいただけた理由だと思っています。
— 「ファッションは自由だ。」をメッセージとしたジーユー(GU)のCMを1回限定で放送されました
 ジーユーは「YOUR FREEDOM 自分を新しくする自由を。」をコンセプトとしたブランドです。一方で最近は人の生き方や社会の気分が自由とはほど遠く、不自由で不寛容な時代が続いています。そこで、この風潮をはねのけて輝いている方々を応援できないかという思いから、本作の企画がスタートしました。ただ、社会課題をテーマとしたCMにありがちな説教くさいものにしたくなかったので、メッセージを伝えながらもエンターテインメントとして楽しめることや、気持ちのいい読後感についてプランナーの木下舞耶やコピーライターの三浦麻衣と何度も話し合いました。CMには中条あやみさん、松本まりかさん、義足モデルの海音さんなどご自身のポリシーを持ってさまざまなジャンルで活躍する8人の女性が登場し、それぞれがファッションを自由に楽しむ様子や、SNSでの心ないコメントを笑顔で切り返す姿を描いています。ご自身への批判的な言葉を読み上げる場面もあり、勇気のいる出演だったかもしれませんが、皆さんからは「まさに自分が思っていたこと」「出演できて良かった」「周りからも好評でした」などの感想をいただき安心しました。3月8日の国際女性デーに1回限定で放送したところ好意的な反響がほとんどで、彼女たちがリアルに演じてくださったことや、チャーミングなトンマナであることが共感につながったのではと思っています。
— これからの広告作りについて
 “出る杭は打たれる”時代ですが、一方で自身の思いを発信できないブランドは廃れていく時代でもあります。炎上覚悟で極端なメッセージを打ち出す必要はなく、マスに愛されながら思いを発信する方法はいくらでもあるので、その中で最適な伝え方を考えるのが私の仕事だと考えています。また昨今の報道を見ていると広告以外の領域でコミュニケーションのプロが必要とされていると感じる場面も多く、将来的には広告の作り手の技能を幅広い分野で活用できたらと思います。 また、これは妄想ですが、広告史の教科書があるとしたらそこに載るような広告を作りたいですね。そのためにはある程度長い期間、新しいことを続け、愛され続けていることが必要だと思うんです。今は長期的な視点でブランドを育てる仕事が本当に楽しいですし、これからもそういう広告をひとつでも多く手掛けていけたらと考えています。
北田有一氏 株式会社 電通 第1CRプランニング局 クリエーティブ・ディレクター
2004年電通入社。好感度の高いテレビCMと若者向けデジタル施策との統合を得意とする。CM総合研究所のCDランキングでは2019年度より2年連続のトップ10入り。ACC ブランデッド・コミュニケーション部門グランプリ、カンヌライオンズ金賞、Spikes Asia金賞、 ADFEST金賞、D&AD銅賞、TCC審査委員長賞、TCC新人賞、ヤングカンヌ日本代表など、国内外で100以上受賞
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。