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BRAND OF THE YEAR 2020・インタビュー 日本マクドナルド株式会社


日本マクドナルド株式会社は木村拓哉さん出演の『ちょいマック』など有名タレントを起用して共感度の高いストーリーを展開するCMを多数オンエア。CM好感度調査で上位に入り続け、2020年度(1〜12月度)の企業別で総合1位に輝いた。同社の広告戦略について、上席執行役員 CMOのズナイデン房子氏にお聞きした。
(収録:2020年11月25日)
【 CM INDEX 2021年1月号に掲載された記事をご紹介します。】

インタビュイー
ズナイデン房子氏 上席執行役員 CMO
長崎県出身。筑波大学卒業後、資生堂に入社。ユニリーバ、日本ロレアル、資生堂マーケティング本部長、日清食品ホールディングス執行役員グローバルCMOを経て、2018年10月より現職

日本マクドナルド『ちょいマック』
2020年度の代表的なCM
「ドライブスルーの歌」篇
企業別CM好感度で自己最高スコアを大きく更新し、CM好感要因の「商品にひかれた」「宣伝文句」「企業姿勢にウソがない」では同1位に輝いた。なかでも木村拓哉さんが「♪ドライブスルーでちょいマック」と車を運転しながら歌う『ちょいマック』のCMがスコアを牽引。堺雅人さん演じる父親がふたりの息子と『チキンマックナゲット』を楽しげに味わうCMや離れて暮らす父(光石研さん)と娘(岸井ゆきのさん)が電話で心を通わせる『月見バーガー』のCMなどで多くの支持を集めた。

— 木村拓哉さんを起用した『ちょいマック』をはじめ、多くのCMがヒットしました
 マクドナルドはいつでも誰でも気軽に楽しめる懐の広いブランドで、お食事を提供するだけでなく、お食事を通しての大切な時間や体験をお客様に提供しています。これらのマクドナルドならではの価値を伝え、替えのきかないブランドにするために、広告コミュニケーションの担う役割は非常に大きいと感じています。
 『ちょいマック』のCMは、普段からマクドナルドに親しんでくださっている木村拓哉さんに出演していただけたことで、広告とお客様との距離が近くなったのではないでしょうか。メニュー選びに迷うシーンでも、木村さんには悩みながらも心が浮き立つ瞬間を自然体で演じていただけるように、企画はあまり作り込まず、木村さんならどんな表情でどんな言葉を言ってくれるのか、どれだけリアリティーを感じていただけるかを大切にしました。吹き出しのビジュアルで展開した「いいじゃんマック」という言葉も、マクドナルドへの愛着を木村さんらしい言い方で表現したもので、ブランドと木村さんとの関係性がメッセージの信頼感を高めたように思います。
— 共感性の高いストーリーが支持されています
 私たちは「LIKEからLOVEへ」というビジョンのもと広告活動を展開しています。より多くのお客様にマクドナルドへのLOVEを感じていただくために心掛けているのは、広告では商品のアピールだけではなく、日常のささやかな幸せや身近な人とのつながりといった人間の本質的な価値を描くということ。堺雅人さんに出演いただいた『ビッグマック』のCMはお客様と商品、『チキンマックナゲット』のCMは父と子、『ダブルチーズバーガー』のCMは同僚とのつながりをテーマに展開しました。堺さんはごく普通のサラリーマンや幼い子供を持つ父親など、さまざまな役柄を魅力的に演じてくださいました。
 コロナ禍では、変化する日常の中で揺れ動くお客様の気持ちに寄り添うメッセージをお届けするために、日々頭を悩ませました。休校やリモートワークの増加に伴い、お子さまと親御さんがおうちで一緒に過ごす時間が増えましたよね。不安な時代だからこそ家族のありがたみが見直されたのではないでしょうか。堺さん演じる父親と子供たちがチキンマックナゲットを和気あいあいとシェアするCMでは、かけがえのない家族の時間の媒介として商品を描いています。また離れて暮らす家族になかなか会えないという方も多いと思いますので、『月見バーガー』のCMは、東京で働く娘とその父親を主人公にしました。たとえ離れていても同じ月を見られるように、商品を通してお客様が大切な人とつながっていただけたらという思いを込めました。
― 反響と今後の展望
 おかげさまで決算発表※1では過去最高の売上高を更新しました。緊急事態宣言下にあった4月下旬にはテイクアウトやデリバリーのご利用を呼びかけるCMを急きょ放送するなど、お客様に安全・安心を感じていただけるようスピード感のある情報発信を心掛けました。

一つひとつの広告を大切に
お客様に寄り添うメッセージを発信

 不安な日々が続きますが、全国にいる16万人のクルーはお客様に安心してお食事を楽しんでいただくために、万全を期して店舗に立っています。クルーの皆さんからは「CMを楽しみにしています」「お客様との会話のきっかけになりました」といった感想をいただくことが多いですね。私たちマーケティングのチームがお客様を想って広告を制作しているのと同様に、クルーの方々は素晴らしい店舗体験を通してお客様にブランドの価値を伝えてくれている。この両輪でマクドナルドとお客様との関係を深めていくことが重要だと感じています。
 また企業別CM好感度で総合1位※2と極めて高い評価をいただけたのは、私たちと一緒に広告作りに奮闘してくださるパートナーエージェンシーの皆さまや、クリエイターの方々のチームワークと才能の賜物だと思っています。ブランドとお客様の関係も人と人との関係と同じで、日々のコミュニケーションの積み重ねによって築いていくものですよね。そこに早道はなくて、常に社会の状況や生活者の心の動きを見つめながら、お客様一人ひとりの気持ちに響くメッセージを考え続ける努力が欠かせません。ブランドの価値を高め、マクドナルドへのLOVEを増やしていくためには、一つひとつの広告に渾身の思いを込め、愚直に挑み続けること。それ以外の方法はないと考えています。
※1. 2020年1月〜9月期決算
※2. 2020年1〜12月度までの年間集計
日本マクドナルド CMデータ(企業別)
CM展開月数:12カ月/オンエア作品数:111作品/放送回数:15311回/CM好感度:1996.0P‰
関連データ

2020年度のテレビCMについてまとめたレポートをご用意しております。