電通CMクリエイター 見市沖のこれからのCMの話をしよう【三浦崇宏氏・後編】第1回/全2回
クリエイティブの力で社会を変える
電通のCMクリエイター・見市沖氏がCM制作の最前線で活躍するクリエイターと、これからのCMのあり方を探る連載企画がスタート。第1回の対談相手は、「あらゆる社会の変化と挑戦にコミットすること」をミッションに掲げ、クリエイティビティを軸に企業をサポートするThe Breakthrough Company GOの三浦崇宏氏。後編ではブランドが愛されるためのCM作りや広告クリエイティブの可能性について語っていただいた。(収録:7月16日)
【 CM INDEX 2020年10月号に掲載された記事を2回に分けてご紹介します。(第1回/全2回)】
※第2回は10月23日(金)に公開
※第2回は10月23日(金)に公開
— CMで企業のビジョンを表明し、変化と挑戦を加速させる
見市:GOではCMの役割をどのように捉えていますか。
三浦:GOは「クリエイティブの力で社会のあらゆる変化と挑戦にコミットする」というミッションを掲げています。つまりパートナー企業の変化や挑戦を応援するということですね。企業の思いを社会に表明し、進化を加速させるという意味でもCMは非常に重要な役割を担っています。
例えば『メルカリ』※1の仕事では、サービス自体の概念をフリマアプリから“あらゆるお買い物のプラットフォーム”に変化させるためのPRをお手伝いしたんですね。地域限定の折り込みチラシを展開するなど、さまざまなプロモーションを行ったのですが、世の中へ広く宣言するという点では電通の東畑幸多さんが手掛けられた草彅剛さん出演のCMが機能しましたね。
三浦:GOは「クリエイティブの力で社会のあらゆる変化と挑戦にコミットする」というミッションを掲げています。つまりパートナー企業の変化や挑戦を応援するということですね。企業の思いを社会に表明し、進化を加速させるという意味でもCMは非常に重要な役割を担っています。
例えば『メルカリ』※1の仕事では、サービス自体の概念をフリマアプリから“あらゆるお買い物のプラットフォーム”に変化させるためのPRをお手伝いしたんですね。地域限定の折り込みチラシを展開するなど、さまざまなプロモーションを行ったのですが、世の中へ広く宣言するという点では電通の東畑幸多さんが手掛けられた草彅剛さん出演のCMが機能しましたね。
— 企業と社会それぞれの課題にアプローチできる広告が理想
見市:僕もCMを作る上では企業の人格や姿勢を伝えることを大切にしています。三浦さんはこれからどんなCMが評価されると思いますか。
三浦:GOでは企業の価値を象徴的に体現する活動を“ブランドアクション”と呼んでいます。飲料メーカーがペットボトルのラベルを外すとか、グッチなどを傘下に持つケリングがエマ・ワトソンを取締役に任命するとか。これらを見ていると今は変わることへの期待感が高まっているように感じます。
見市:経済成長の停滞も影響していますよね。
三浦:経済的な成長は難しいけれど変化はできるということですね。変わるという勇気を持つことはそれまで向き合ってこなかったマーケットの拡大につながるので、CM作りにおいても新しい価値を伝える表現が求められていると思います。
また、社会的なイシューに対する姿勢を宣言するような広告にも注目したいです。かなり前ですが、佐々木宏さんの仕事で9.11の翌年に掲載されたANAの新聞広告「ニューヨークへ、行こう。」は忘れないと思います。最近では医療従事者などのエッセンシャルワーカーに企業が応援メッセージを発信したり、「Black Lives Matter」運動に対する自社の思いを表明したり。こういった時代そのものに向き合う姿勢はさらに求められていくと思います。
見市:スタンスによると思いますが、社会的なメッセージよりも販促効果を重視する企業も少なくありません。
三浦:そうですね。ただ、あらゆるものがコモディティ化する中で、社会課題と絡めた広告表現の方がユーザーの共感を得やすいと感じる場面が増えているのは事実です。
見市:企業が社会的な存在として愛されるための提案ですね。
三浦:クライアントにとってより良い結果になるなら、一見遠回りに見える中長期的な取り組みでも提示するのが我々のひとつの責任だと思います。
見市:理想的な広告って社会課題と企業の課題解決の重なるところにあるんでしょうね。
三浦:2007年から『ボルヴィック』とユニセフが10年間展開した「1ℓ for 10ℓ」プログラムみたいな。グローバルな規模で見ると大きなムーブメントになった事例はいくつかありますが日本ではまだ少ないので、それを僕たちの世代が実現できたら良いですね。
映像って「俺、これが好きだな」とか「このブランドは私の味方なんだな」と論理を超えて思わせる力があるじゃないですか。その力をうまく使うことができれば実現の可能性は十分にあると思います。まだ先は長いですが、チャンスはあるはずです。
三浦:GOでは企業の価値を象徴的に体現する活動を“ブランドアクション”と呼んでいます。飲料メーカーがペットボトルのラベルを外すとか、グッチなどを傘下に持つケリングがエマ・ワトソンを取締役に任命するとか。これらを見ていると今は変わることへの期待感が高まっているように感じます。
見市:経済成長の停滞も影響していますよね。
三浦:経済的な成長は難しいけれど変化はできるということですね。変わるという勇気を持つことはそれまで向き合ってこなかったマーケットの拡大につながるので、CM作りにおいても新しい価値を伝える表現が求められていると思います。
また、社会的なイシューに対する姿勢を宣言するような広告にも注目したいです。かなり前ですが、佐々木宏さんの仕事で9.11の翌年に掲載されたANAの新聞広告「ニューヨークへ、行こう。」は忘れないと思います。最近では医療従事者などのエッセンシャルワーカーに企業が応援メッセージを発信したり、「Black Lives Matter」運動に対する自社の思いを表明したり。こういった時代そのものに向き合う姿勢はさらに求められていくと思います。
見市:スタンスによると思いますが、社会的なメッセージよりも販促効果を重視する企業も少なくありません。
三浦:そうですね。ただ、あらゆるものがコモディティ化する中で、社会課題と絡めた広告表現の方がユーザーの共感を得やすいと感じる場面が増えているのは事実です。
見市:企業が社会的な存在として愛されるための提案ですね。
三浦:クライアントにとってより良い結果になるなら、一見遠回りに見える中長期的な取り組みでも提示するのが我々のひとつの責任だと思います。
見市:理想的な広告って社会課題と企業の課題解決の重なるところにあるんでしょうね。
三浦:2007年から『ボルヴィック』とユニセフが10年間展開した「1ℓ for 10ℓ」プログラムみたいな。グローバルな規模で見ると大きなムーブメントになった事例はいくつかありますが日本ではまだ少ないので、それを僕たちの世代が実現できたら良いですね。
映像って「俺、これが好きだな」とか「このブランドは私の味方なんだな」と論理を超えて思わせる力があるじゃないですか。その力をうまく使うことができれば実現の可能性は十分にあると思います。まだ先は長いですが、チャンスはあるはずです。
※1. 草彅剛が「メルカリしようよ」と呼びかけるシリーズCM。2019年の年明けからは「#はじメル」をコピーに、坊主姿の草彅が「三日坊主でもいいじゃない」と新しいことへの挑戦を応援するCMを展開した。
三浦崇宏氏 The Breakthrough Company GO 代表取締役 PR/CreativeDirector
2007年株式会社博報堂入社、マーケティング・PR・クリエイティブの3領域を経験、TBWA\HAKUHODOを経て2017年独立。Cannes Lions、PRアワードグランプリ、ACC賞など受賞多数。近著に『言語化力』(SBクリエイティブ)、『人脈なんてクソだ。』(ダイヤモンド社)。「表現をつくるのではなく、現象を起こすのが仕事」が信条。
見市沖氏 株式会社 電通 クリエーティブディレクター/コピーライター/CMプランナー
2006年電通入社。近作はタイムツリーはじめました、ポッキー、パズドラなど。TCC新人賞、ACC賞、国際PRゴールデンアワードなど受賞多数。「世界に愛されるブランドをひとつでも多く増やす」がモットー。
2007年株式会社博報堂入社、マーケティング・PR・クリエイティブの3領域を経験、TBWA\HAKUHODOを経て2017年独立。Cannes Lions、PRアワードグランプリ、ACC賞など受賞多数。近著に『言語化力』(SBクリエイティブ)、『人脈なんてクソだ。』(ダイヤモンド社)。「表現をつくるのではなく、現象を起こすのが仕事」が信条。
見市沖氏 株式会社 電通 クリエーティブディレクター/コピーライター/CMプランナー
2006年電通入社。近作はタイムツリーはじめました、ポッキー、パズドラなど。TCC新人賞、ACC賞、国際PRゴールデンアワードなど受賞多数。「世界に愛されるブランドをひとつでも多く増やす」がモットー。
その月のCM業界の動きをデータとともに紹介する専門誌です。